勧善懲悪のディズニー作品にあって少し変化球が楽しめる「クルエラ」

クルエラ

オススメ度:★★★★☆(3.8)
理由:やはり,ディズニー作品らしい作品.
それでもかなり,心理描写もあり,
もう少しシリアスな奥深さがあれば,
もっと良かった.
親殺しの『オイディプス王』,サイコパスと
いった隠れた背景をもっと観たかったような
気もする.脚本が良いだけに実に惜しい.

クルエラがダルメシアンの毛皮で
コートを作ろうと目論んだ
あの『101匹…」ダルメシアン・ヘアの
クルエラ・ド・ヴィル(Cruella De Vil)
回想シーンから始まる生い立ち.
序盤ぐいぐいと惹き込まれる.
クルエラの手下のジャスパーとホーレス
との出会いも垣間見れる.
そういう意味では「101匹」を
先に観てから望むと一層楽しめると
思います.

悔いても悔いきれないあの軽はずみな
自分の行動.そのことでたいへんな
結果をつくる.親の死.孤独.全く自身の
才能を評価してくれない社会.

とにかくラ・ラ・ランドの
エマ・ストーンが演じる
クルエラ・ド・ヴィルがカッコ良すぎる.
派手な衣装で登場するシーンが素晴らしい.

彼女がワルに徹するようになった経緯が面白い.

ファッション界を牛耳る根っからの
超ド級のワル.バロネスを
『ハワーズ・エンド』の
エマ・トンプソンが演じる.
これは相当の根が腐ったワルである.

そんなバロネスと比べて,
クルエラはその悪を退治するワル
という勧善懲悪な設定ですが,
その気持ちに共感でき,観ていて痛快.

いかにしてバロネスに復讐するか,
その作戦が実にユニーク.
ラストシーンも敵の行動を
知っての筋書きで
すべての復讐計画が完璧でした.
スカッと爽やかに,
しかしそれでいて,
二時間以上の上映時間を
感じさせない展開.

クルエラは,
最初はそんなにワルでは
なかったのに,それがどうして
悪の道へ流されたのか.
そのストーリーが興味深い.
すると,あの『ジョーカー』を
どうしても思い出すし,
そして比べてしまう.

すると,『ジョーカー』と
本作の違いは何か?
圧倒的にシリアスさが足りないこと.
もっと相手を憎む,恨む,
そして悲しむような内面を
もっと,えぐり出して欲しかった.

善の道から悪への誘いは,
アナキン・スカイウォーカーや
最近では「るのうに剣心」の
雪代縁のような心の変化だ.
それが重要だ.

ま,これもディズニーお決まりの
動物虐待やジェンダー,
ドラックに関するシーンは
全く映像しないという…
ディズニー作品枠の制限の中で,
あれだけ表現できるのは
逆にそうした意味では感心する.

愉快痛快に楽しめます.

クルエラ1

投稿者プロフィール

天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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