子どもとどのように接して良いのか考えさせられる『明日の食卓』

明日の食卓

オススメ度:★★★☆☆(3.4)
理由:心にぐっとくる重苦しさもなく,
俯瞰して観られる作品.
母親の視点から描かれているため,
駄目な父親がクローズアップ.
父親の立場で観ると逆に複雑な想い.
怒りを抑える我慢,辛抱など,
考えさせられる作品だ.

原作,椰月美智子の映画化.
3組の同年代の8歳の男児を
育て母親を中心に描いた作品.
静岡の石橋家,神奈川の石橋家,大阪石橋家.
同姓同名の息子を持つ
母親のあすみさん,留美子さん,加奈さん…
それを演じる尾野真千子,菅野美穂,高畑充希

環境も場所も異なる3人の母親たち.
息子を愛している.でも追い詰められる.

子育てというのは,
母親の役目が重要になり,
父親は関わっていないケースが
多いのではないか.
その関わりが薄くないか.
そんな問いかけが本作品から伝わる.
子どもが普通に育つことほど
難しいことはない.
些細なことで脆く崩れやすい親子関係.
つい感情的になって
子どもに怒りをぶつける.
自身の苛立ちを怒りに変える.
暴力があたかも躾と勘違いする.
末恐ろしいと感じながら,
どのように接していいのか
わからない母親.
あるいは
変に息子を信じる.
「お兄ちゃんでしょ」
「お姉さんでしょ」と,
知らず知らずに子どもを
差別し傷つけていく.

父親も父親で全く無責任で
肝心な時に何も言えないでいる.
母親からすれば父親に頼りたいが
それも無駄だと認識していく.

旦那の浮気はどうでもいい.
少なくとも親の責任は
果たして欲しいと願うものだ.
シングルマザーの置かれている状況.
ワーキングプアーの状況.
家庭環境,介護に虐待,
理不尽な解雇.弱者救済の道は険しい.

様々の同年代の子どもを
育てる母親にとって共感を
得るものになっているのではないか.
自身の投影と錯覚する.

母親はそれぞれ性格も
ライフスタイルも違うが
共鳴する部分があるようにも思う.
息子を思う気持ち.
母親は子どもを守るっているように見えて
実は母親自身が子どもに
依存しているのではないか.

臨場感あるシーン.
家庭でありそうな問題だ.

「子どもがかわいそうだ」
という解釈で留めることなく,
本来の母性愛は,
子に対する無償の愛.
しかしそこに潜む憎悪や暴力

本当の息子の気持ちに
気づかず…
いや,そうではなくて,
見ようとせずに,
実はサイコパスな息子に
育ててしまうという恐怖.

間違ったことは言っていない,
すべては確かに正論だ.
しかしその正論を振りかざすことで,
ミニゴリラと化している子どもとの格闘と
仕事,そして理解のない夫では,
その環境に潰れる可能性もある.

泣ける,腹が立つ,
そんな感情が行き来する.
それぞれ思う所があるんだろう多分.

作品としては,考えさせらる部分もあり
いいんだが,ただ欲を言えばちょっと…
物足りなさが残る.
最後の終わり方は拙速のような気もした.

明日の食卓

投稿者プロフィール

天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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