この馬鹿馬鹿しさは劇場でしか味わえない『アフリカン・カンフー・ナチス』

ナチス

オススメ度:★☆☆☆☆(0.5)
理由:陰と陽は表裏一体.
なんだB級か-という見方でも鑑賞すると陰.
わずか100万円の予算で全力で制作したという背景を知るとまた見方も変わる.
そうした環境下で,この内容はクオリティが高いと見れば陽.
そんな味方ができたら,
そんな背景を知ると結構な見応えがあるかもしれません.
思い浮かんだ発想を本当に映画化してしまうというところに監督のパワーを感じます.
本作品は日本在住のドイツ人が自らヒトラー役として登場.ガーナで100万円支払って制作したという.東条英機役は素人.現地スタッフは一流.個人でこれだけのことができることも見せつけた仕上がりです.


6/20には,そのセバスチャン・スタイン監督自身の舞台挨拶とサイン会
でした.

サイン会

ヒトラーと東條英機.
彼らはまだ生き残っていた….
アフリカに逃亡し彼らはガーナを制圧した.
そして空手と怪しいスピリチュアルな秘めた力.
次々と現地の人々を「ガーナ・アーリア人」として洗脳していく.
そして再び世界制覇のために武道会を主催する.
そこに定番.ヒーローが登場する.
彼らに師匠を殺され,恋人をも洗脳されて奪われた一人勇敢な青年がカンフーで立ち向かっていく.

これぞB級の中のC級と呼べるぐらいアホらしい.
そのアホらしさが完全に振り切れています.
思考が停止するぐらいのほぼ期待どおりの作品.
まさに時間の無駄.
首は飛ぶ,鮮血は凄いが,そのリアリティのなさ,
チープな制作費に恐怖感は全く感じられない出来.
映画研究会が作ったような手作り感満載.
字幕は関西弁で滑稽です.

カンフーは,あのジャッキー・チェーンの酔拳と蛇拳を短時間でくっつけた感もあり.
そして,なぜか武闘試合会場にもかかわらず相撲スタイルで行司が審判員.
監督の頭の世界では日本はそう映っているんでしょう.
メークも適当.
で監督自ら出演しているヒトラーも
素人日本人の東條も全くリアリティは微塵も無い.

でも憎めません.

むしろ楽しく映画を制作してるのが,
こちらまで伝わってくる作品.
そしてストーリーもそれなりに成り立っているから不思議.
勧善懲悪の王道ですが,
どちらかと言えば水戸黄門的というよりも
ロルプレイングゲームに近い.

ヒーローのガーナの青年は,一度は叩きのめされて挫折.
師匠からは技を,祈祷師からは前向きさを,師事され大きなことを成し遂げていく.
着眼点は面白い.脚本かな.資金かな.
もうひと工夫あるといいかな.
中盤だらけるぐらいなら,
いっそのことショート作品にした方が良かったかもしれません.

まあ,あの限られた時間にB級にあって,欲張りがてんこ盛り.
ラブコメ,アクション,サスペンス.
凝縮されているとも見方によって捉えることができる.
時間の無駄と感じるぐらいが,実は傑作な作品だかもしれません.
最幸でした.

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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