こんなテーマパークがあれば利用したいと思う『ベル・エポックでもう一度』

バルエポック

オススメ度:★★★★☆(4.0)
理由:人は,必ずどこかに一番輝いていた時代がある.
あの時を再現したい,もう一度体験したい.
そんな古き良き時代に戻ってみたい.
そんな気持ちを抱くもの.
この脚本,俗っぽいタイムマシーンでなはない.
さながら京都映画村貸し切りで主役は本人.
どこの時代でも,自分が望めば大勢の役者たちが演じていくれる.

これは凄い!

こうした描き方があるのかと感心する.
これぞ映画の醍醐味.これはオススメだ.

フランスのロマンチックコメディドラマ作品.
やはりフランス作品は人間そのものにスポットがあたっていて
複雑な人の気持の内面をえぐり出してくれる.
元は売れっ子のイラストレータで今は無職,
初老の男性.
昔を懐かしみIoT,AIという今という時には無関心になっている,
それだけ今がグローバル化され技術進歩が激しいからだ.
そんな夫は妻からは疎んじられ,挙げ句に浮気される始末.
そしてついには家からも追い出される.

そんな父を見かねて息子は,
歴史を再現してくれる映画村のようなセットの会社で「タイムトラベル」を父にプレゼントする.
それは自分の願った時代を疑似体験できるというものだ.
SF作品のタイムマシーンものでは無いところにこの作品の良さがある.
注文顧客のために映画セットと役者を丸ごと用意するというものだ,
裕福な顧客は17世紀の王朝を要求するものもいる.
あるいはヒトラーになりきるもの.
様々のリクエストに応える.

彼は他人の人生ではなくて,
自分の過去の人生で最も輝いていた「時」を選択した.
それはリヨンにある,
映画タイトルのLaBelle Époqueカフェだったのだ.
ここは彼が初めて妻と出会った場所だ.
そこで彼は若者として扱われる.
周囲のエキストラもすべて顧客のために忠実に演している.
そこで過去に夢中になり,彼は全財産を投資する.
過去の妻は今の役者.その役者に惚れ込んでしまう.
片思いでもここまで突っ込むとストーカーとは紙一重だ.
現実と過去が交差すると自分も若いと思ってしまう.
魂はいつまでも若く経験だけが積まれていく.

まさにパラレルワールドだ.

何やら「笑うセールスマン」の戒めのようなところもありつつ,
それが決して皮肉ではなくてフランスらくし洒落ている.

過去を振り返りたい気持ち.
凄くわかるし伝わってくる,.これまで無かった情熱が沸々と湧いてくる.
頭の中の記憶だけで妄想が3次元の現実になればそれは現実逃避に他ならない.
その中から如何に現実に惹き寄せるかだ.

そして,
ラストシーンで落とした彼女のマフラー…
それを拾わないのがいい.
決してハッピーエンドではない終わり方.
過去と現在が交差する.
過去と現在,
陰と陽,
若さ老い,
男と女…
まさに一対となしており.
過去はいつまでの漂いたいところだが,それに溺れてはいけない.
今を生きるための過去なんだ.良作.

投稿者プロフィール

天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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