実話が丁寧に描かれた「ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~」

ヒノマルソウル

オススメ度:★★★★☆(3.7)
理由:心の葛藤が
素直に描かれていて,
単純なお涙頂戴ものに
なっていない点がいい.
潔さ,家族愛.
それぞれの個人の事情.
その想いが伝わる作品だ.

本作は長野五輪での
テストジャンパーの実話を
基に描いたもの.
予告CMで,なんとなく
描かれていることが
大筋はわかる.
だからこそ,そんな作品を
観るのをやめようかとも思った.

が,いざ鑑賞すると…
わかっていながら,
それでも泣ける.
本作は単純な
お涙頂戴ものではない.
静かに奥底から熱いものが
こみ上げてくる.

悔しいという想いは
人それぞれに違う.
本作で,悔しいと感じた
その想いが伝わる.

全く違った想いを感じた.
自身が感じたこと,
悔し涙を流したことを
本作を観ながら思い出した.

それが共感を
生むのかもしれない.

実直…
真っ直ぐな作品だ.

あのリレハンメル,
そして長野五輪.
記憶にしっかり残っている.
スキージャンプ・ラージヒル団体
金メダルの裏話,
だいたいは聴いていたが,
ここまでは知らなかった.

そうだ…
当時吹雪が激しくて,
なぜ二回目が始まらないのか?
と思っていた.
舞台裏には
そんなことがあったのか.

裏方はあくまでも地味だ.
宿舎からの徒歩移動.
代表選手との処遇の格差.

あの吹雪の中,
ジャンプを敢行した
25人のテストジャンパー.
その中の1人には
リレハンメルで
活躍した西方仁也が居た.
拍手も歓声も上がらない中で
粛々とこなして
いかなければならない.

原田雅彦への特別な想い.
悔しさ.憎しみ.怒り.
憎悪や自己嫌悪.
様々な思いがよぎる.
正の感情と負の感情.
失敗したことは許せるが
追い越されると
妬む気持ち.
失敗して欲しいと
願う気持ちも
痛いほどわかる.

オリンピック選手を
目指した彼らにとって
テストジャンパーの役目は
悔しくて仕方あるまい.
前向きにできるわけない.
葛藤に生きるジャンパーの想い.

特にテストジャンパーの
女子高生
そして聴覚障害,
葛西賀子と高橋竜二.
女子が正式種目になったのは,
あれから16年かかっている.
実話はすごいパワーがある.

色々なことを思い出す.
レジェンドの葛西が
団体から落ちたこと,
忘れていた.

自国開催での
金メダルの圧力は
相当なものだったんだろう.
アスリートの短命.
選手生命を考慮すると,
複雑な想いだ.

それにしても,
原田選手役のカメ止め監督は,
あの有名なしゃがみ込む
シーンや
「やっちゃいました…」と
いったセリフが
本当に本人と
よく似ていて笑えた.
「ソウル」と「パッション」

ストーリーは至って単調.
実話に沿った脚本が
生きている作品だ.
観られてよかった.

投稿者プロフィール

天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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