気づけばモブキャラ(背景キャラ)になっていないか「フリー・ガイ」

フリー・ガイ

オススメ度:★★★★☆(4.4)
理由:とにかく設定が斬新で面白い.
この夏のオススメのエンタメ作品だ.
オープンワールド系のゲームの
モブキャラが
ナイスなガイに変身する.
本来,背景を彩るしかない存在の
カスやクズ役のモブキャラが,
自身で人工知能(AI)も身につけ,
意図したプログラムで動くことなく,
自立して自身で学習していく「ガイ」.
その軽いノリのキャラ「ガイ」.
そんな姿に勇気をいただけます.
そしてちょっぴり憧れもあったりする.
いい作品でした.

ビデオゲームの世界が映画作品に.
オンライン・ゲーム「フリー・シティ」
が舞台となっている.
ゲーム業界用語の
NPCノンプレイヤーキャラクター,
「背景キャラクター」を「モブキャラ」と
いうらしい.モブキャラとアバターの
違いを解説.アバターはいうなれば
プレーヤーが我々ゲームに参加する
生身の人間の仮の姿.
そういう意味では,「そばかす姫」も
アバターということになる.
他方,モブキャラとは単なる
風景・背景に過ぎない.
いわば意識を持たないカスやクズの
ような扱い,そのような,
どうでもいいようなもの,
それが「モブキャラ」なのだ.

主役の銀行マンは
その「モブキャラ」なのだ.
つまり背景だから,
このゲームの世界では,
オマケ,飾りのようなもの.
毎日同じセリフ,
同じ飲み物を注文する.
いつも同じことを
繰り返すようプログラムが
組み込まれていると言ってもいい.

そんな彼が,
自らの頭で考えるのだ.
自我の目覚めに触れる瞬間.
人工知能AIを仮想現実の世界で
身につけていく.
そのやる気スイッチなるものが
異性のトキメキという設定がにくい.
異性に興味を持つとか,
いつもと違うことを
やり始めたりする.
いつもならホットコーヒーに
砂糖2杯のところを,
「今日はカプチーノを」と,
注文してみるとか,
サングラスを掛けたいとか.

日ごろと違ったことをしたい
と言い出す始末だ.
それは高度な思考領域.
それこそがAIに相当するのだ.
決められたプログラム通り
実行して動くのが
従来型のプログラムに対して,
本作の主人公は
自ら自立行動していく.

モブキャラは
典型的な従来型の
決められたことを
順番通りシーケンスに
従って動いていく存在だ.

毎日同じ行動で
安心を担保する.

でも,
だからいつもと違うことは
極端に嫌う.いや,毎日同じ行動で,
その結果がいつも同じ既知なのだ.
それを逸脱することはできないし,
むしろ前例のないことは怖いのだ.
しかし考えてみれば,
私たちも実は現実の中で
生きていながら,
ともすればモブキャラに
なっていないだろうか?
変化の無い毎日を好み,
リスクを極端に恐れているのではないか.
一歩踏み出す時,
一人ぼっちでは寂しい.
応援してくれる仲間は
多ければ多いほどいい.

仲間は多いほどいい.
それを教えてくる作品だ.

投稿者プロフィール

天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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