オススメ度:★★★★☆(4.0)
理由:休む暇なくスリリングな展開.
人間関係も前作と同様に入り組んでいて
複雑.脚本に一層の工夫がある.
飽きさせない.凄みは役所広司には
負けるかもしれないが,それでも
やはり面白い.これは必見の作品だ.
それにしても瀬島夫妻には
ハメられた.この脚本には脱帽だ.
狂気に圧倒された.
原作は前作と同様,
柚月裕子の『孤狼の血』
前作では役所広司の凄みが,
今作では続編で,かなり脚本が
凝っていて素晴らしい出来だ.
前作をご覧になった方は明らか.
これは確実に続編があるとわかる.
前作で役所広司演じた大上章吾.
その後を引き継ぐことになった
刑事が日岡秀一だったからだ.
当然それを演ずる松坂桃李が
次の主役のはずだ.
前作の時点で,
すでに次作はあると確信があった.
本作は小説では描かれていない
映画専用のオリジナル作品らしい.
かなり脚本は凝っている.
架空都市の呉原市とは
おそらく三原と呉を掛け合わせた
都市なんだろう.
警察とやくざの攻防戦.
この広島で実質,
治安を守っているのは日岡だ.
日岡の敵はヤクザであり,
警察でもある.
前作の新人刑事の日岡が
3年経てここまで成長したとは….
平成3年.ちょうどバブル期だ.
確かに凄みは役所広司の
大上刑事の方が断然上かもしれない.
それにしても極悪非道の
上林組組長・上林成浩を
演ずる鈴木亮平の悪役ぶり.
その演技に注目だ.
極悪非道とは,本当に
そこまで人は
できるものなのか.
前作で刺殺された組長の敵を
取ろうと必至の上林.
極限スレスレの生き方.
誰もが手がつけられない
本当のワルだ.
ワルにはワルに堕ちるだけの
背景がある.育った環境が
相当左右する.
蟻地獄なのだ.
這い上がれるハズがない.
だからその極悪な環境を
変えるには,今を無いものに
するしかない.
それは選択肢の
ひとつでもある.
彼に同情出来る点は
ソコかもしれない.
これは脚本が面白い.
人間関係を複雑にし,
その脚本の物凄さに,
劇場で息突く暇がない.
エンドロール手前の
一匹狼たる日岡.
その視線は,左遷されても
このままでは終わらない
凄みがあった.
バブル期のヤクザは
もはやビジネスに夢中で
金儲けに走っていた.
一方,上林は義理人情に
走る男だ.
拳銃に刃物,カーチェイス
のアクション.終始息を呑む.
毒をもって毒を制す.
治安を守るのに綺麗事を
言ってられない.
理不尽な暴力に対しては
それなりの報復があって
しかるべき.そんな気分に
駆り立てる.ちょっと考えれば
悍ましい考えかもしれない.
でも,正当な方法では正義は
貫けないとしたら,それも
有りのような気もする.
現実では出来っこないと
わかっているからこそ,
人はこうした作品を
求めるのだろう.
面白かった.
本作の続編を期待したい.
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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