バナナ姉さんのベストレセラーの映画化「ムーンライト・シャドウ」

ムーンライトシャドー

オススメ度:★★★☆☆(2.8)
理由:この世界観に共感するのは,
あの映像からは難しいかもしれない.
原本から湧き出る込み上げてくる感情.
やはり原本には勝てないのかも
しれません.
キャストは小松菜奈・宮沢氷魚…
素晴らしい.やはり脚本なのか.
村上春樹の「ドライブ・マイ・カー」の
映画化は良かっただけに,
吉本ばななの映画化に
期待しただけに少し残念だ.

原作の心理描写.
なんとなく寂しい中にあって
辛い隙間を埋めるような描写.
「キッチン」はじめ「満月」
「ムーンライト・シャドウ」が
収納された短編小説集「キッチン」

ばなな姉さんこと,
吉本ばななさんのベストセラー
「キッチン」その中に入っている
短編小説の映画化.
これは村上春樹の映画化に近い.
わかったことは,
名作を映像にするのは,
とても難しいということだ.

本作は名作だけに,
随分若い頃に何度も読んだ本.
そうした思い出を抱きつつ,
「これは見に行かなければ…」
しかし,自身の中で
思い出が復活する.
それは心地良い.
もう一度,あの名作を手にして
読み返すキッカケにもなる.
と同時に,本作の
ちょっとガッカリ感.
これは名作の映像化の
難しさをあらためて再確認できた.

活字では,
ほんの2、3行の描写にも
かかわらず,時間にしたら,
どれほど長い時間が
過ぎているのだろうか.
読書から脳内に湧き出る
無限の描写に対して,
映像表現が追いついて
いないのかもしれない.

でも作品を鑑賞すると,
思い出される.
あの…じわじわくる感覚.

人はあまりにも辛いこと,
本当に大事なものを
失った経験があれば,
感じることができる.

大事なものを
失った時の喪失感.
それでも…
毎朝起きて生きている.
そして生きている….
人は結構,打たれ強いし,
簡単には死なない.

名作は登場人物が極端に少ない.
活字でここまで心を
揺れ動かされるものが,
どうして映像では
共感を生まないのか.

思い出の場所へ行った時に
込み上げてくる感情.
深い悲しみと同時に,
明日を生きる高揚感.
思い出を持ち続ければ,
不思議な奇跡は
起こりえるのだ.

「月影現象」
月影とは月の明かり,
ほのかで幻想的な
光でもある月明かり.
亡くなった人に
も一度逢いたい….

その不思議な現象に
期待してしまう.

そしても一つ.
人はどんなに
愛した人を失っても,
猛烈に悲しさを
感じることは少なく,
深い喪失感と同時に
それでも生きていく.

美味しい食事,
そして熱めの茶…
そして,
新しい扉が未来に続いている.
どれほど深い悲しみの中に
あっても.美味しいものを
食べると,微笑みたくなる気持ち.
人は不思議.
それは生きる活力にも繋がるのだ.

投稿者プロフィール

天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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