潰れるな!何とか凌いで生き延びろ「君は永遠にそいつらより若い」

君は永遠にそいつらより若い

オススメ度:★★★★★(4.5)
理由;骨太作品,とても心に響く.
出演している全員が優しい,
悪い人は誰一人いない.
そして思いやりがある.
何をしても,どれ一つとっても,
道半ば.スッキリしない.
それが人生で,
それでもいいんだ,
前を向いて歩いて行こう.
モヤモヤ感の中にあって,
そんな気持ちにさせてくれる
優れた作品だ.

少し消化不良で何故?
の解決を示さずに
終わってしまう点もある.
人生もすべてが解決していない.
道半ばで忘れてしまったもの.
辞めたもの,諦めたもの.
頑張り続けたもの,
できなくても
諦めないこともある.
恐らく自分だけの力ではない.
不思議なご縁もある.
胸が熱くなった.

同小説,あの芥川賞作家,
津村記久子の映画化.
同小説は太宰治賞作
『マンイーター』を
リバイスし改題した作品,

映画化は「心の声」を
如何にスクリーンに
表現する.
彼女の性格とか
共感する部分とか
反対に腹が立つ部分とかが
観客に如何に
伝えられるかどうか
で決まる.

村上春樹,吉本ばなな,
そして津村記久子…
過ぎれた文学作品を
どうやって映画化するか.
監督脚本家の手腕に
かかっているような
気がします.

本作は共感する部分が多い.
学生時代のあの気持ち,
コンプレックス,
なんとなく虚しい気持ち,
諦念とか焦燥感.
人に対する遠慮や憎しみ.
まくし立てる饒舌さ
時には沈黙する気分.
別れと出会い.そしてご縁.
一見うだうだ過ごしている
ように見えて,
その中でもいろいろな
インパクトが人生にはある.
ありふれた日常の中に
突然現れる.
もの凄い衝撃…
それは決して楽しいこと
だけではなくて,
平凡な人生の中にあって,
ノイズではなく,衝撃波なのだ.

人には様々な事情がある.
だから何気ない行動や
言動で人を傷つける
こともある.
それは,察したり気遣いを
しても気がつくという
レベルでないことも
あるように思う.

思ったことを
口にして傷つけることも
あるかもしれない.
だから沈黙してしまう.
沈黙すれば相手には
伝わらない.
口を開けば傷つける.
でも何か反応するしかない.
それがコミュニケーション
ではないか.
時には傷つけることもあるが,
その後,
修復すればいいんだ,
そんなことを感じた.

人は魂が潰されないために
どう行動すればいいのか.
なんとなく受け身で
生きていく中にあって,
それでも譲れない
何かが潜んでいるような
そんな気がした.

優れた作品には,
作品を通じて
自分も
「思い当たるようなことがある」
と感じさせるものがある.

謎解きで
すべて解ければ
スッキリはするが,
そもそも曖昧のまま
終わってしまうのは
人生の中には
沢山あるんだ.

佐久間由衣,
奈緒このふたりの
自然な演技がいい.
そして舞台挨拶.
「明日に繋がるように」と
言ってくださった奈緒さん.
「どんな人でも誰かの為になっている.生きているだけで凄いことと感じる」
と佐久間由衣さん.

極端な行動で
腹落ちしない部分も
作中にはあるが,
そうした時は,
なんとなく不自然だなと
思って軽く流すことだ.
そうして軽く流して
観る視線も
必要なのかもしれない.
その方が作品を
逆に素直に
感じることができる.

人は,
どんな深い悲しみでも
耐えられる.
そして,それは
薄らいでいく.
時間とは
本当に摩訶不思議な薬だ.

投稿者プロフィール

天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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