これはオススメ,韓国映画は勢いがある「偽りの隣人 ある諜報員の告白」

偽りの隣人

オススメ度:★★★★☆(4.2)
理由:涙あり笑いあり,
最後はほっこりできる.
そして時折マジで
考えさせられるシリアスな
部分もあり.まさに韓国映画の
勢いを感じる.
本作はあくまでフィクションで
ありながらも,それに近い事件を
思い出させるストーリだ.
中々優れた作品で
「7番房の奇跡」もそうだが,
実際にあった事件をモチーフに
脚本し映画化する見事な手腕.
そこが凄い.

序盤はエンタメかと思わせるが
実はシリアスで怖い点もあり,
そのあたりも実に巧妙で奥深い.
正義とは一体何か.
そして家族の幸せや
子どもに為に…とは,
一体本当は何をすべきか.
目先や世間体ではなく,
子どもには,本人がしたいことを
やりたいこと,
その芽を伸ばすことだ.
勉強せよ!だけでは駄目だ.
それは子どもの為といいながら,
実は自分のエゴではないか.

犬が買いたい.
テコンドーを習いたい.
いろんなことに興味を示す….
その時遮ることはない.
とても考えさせられる.

1980年代の韓国は
まさに軍事政権下の監視国家.
ちょうど1970年代にあった
あの金大中拉致事件
を思い出させる光景だ.

野党の次期大統領出馬候補が
帰国すると即に公安に
逮捕され監禁された.
その後に自宅軟禁.
主人公はその隣人に済んでいる
住人で実は諜報員だ.
諜報員は,隣人を装い
人権を無視した盗聴,監視.捏造
主人公はやがてそこで
次期大統領出馬候補の
私生活を監視していく内に,
彼の人柄,家族愛,
そして国への思い,
自由や平和,平等社会…
公正明大な彼の考えに
次第に惹かれていく.
その心の動き.
描き方が実に素晴らしい.

シリアスな設定でありながら
拷問シーンも,
惨忍な殺されるシーンも,
そんなになく,ほっこりと
とても温まる.
笑いの中で
ホロリとくる演出は
本当に見事だ.

当時の韓国の
軍事独裁政権といえば,
敵対分子はことごとく潰す.
実際に海外で殺害するなど
日常茶飯事だった.
民主化運動の弾圧も
普通にあり,
今では考えられない状況が
堂々と行われていたのだ.

そんな中にあって
諜報員の彼は,
自分の行動で大切な命が
失われていく罪悪感.
自責の念.中庸という考え.
自分の家族に危険が及べば,
それに従うしかない気持ち.
葛藤の中で,
正義や信念を貫けば,
結局は自分の家族を不幸にする.
逆に従えば,相手の家庭を
不幸にする.

そういう面では,どちらを選択しても
後悔を背負って生きていくことになる.
それでも前を向いて歩むしかない.
生きてさえいれば,何とかなる.
暗黒の時代にさえも
光が差し込んでくるのだから
結局は「諦めない」ことが必要だ.
本作はそれを教えてくれる.

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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