実話,エンドロールの手前に本人のインタビューあり『クーリエ:最高機密の運び屋』

オススメ度:★★★★☆(3.8)
理由:エンドロールの前に
流れた彼の当時のインタビューが
印象深い.事実に基づく迫力は,
人間味だ.
派手なアクションはないが,
緊張感は半端ない.
個人が世界のために,
世界は個人のために.
それをまさに地で行く作品だ.

本作は実話をもとにした
冷戦時代のイギリスのスパイで,
ロンドンが舞台だ.
グレヴィル・ウィンは,
ごく普通のビジネスマン.
彼は共産圏の東欧諸国に
工業製品を売るため
出張していたのだ.
これまでスパイの経験など
一切ない彼がなんと,
CIAとMI6からの依頼を受け,
情報の運び屋としての
その役割を果たしていく.
ソ連側の内通者からの情報を
運び続ける.

米国がキューバの
核ミサイル基地の存在を知る
キッカケとなった裏には,
彼の存在は大きい.
彼が持ち込んだ情報で,
結局はキューバ危機を回避する,
その一役を担ったことは間違いない.

確かにプロのスパイを
一般人に仕立てるよりは,
いっそのこと一般人に
スパイをやらせた方が
手っ取り早く,
しかもより自然に見える.
ま,理屈はそのとおりですが,
「マジか」
とも思える.
これが実話だとすれば,
他にもまだまだいっぱい
この手の出来事が
隠れているに違いない.

一歩間違えれば
命取りともなりかねない,
そんな危険を冒してまで
身を捧げるその姿に
手に汗握る.

東西冷戦の1960年代.
ソ連の喉元トルコに
ミサイル基地があって,
なぜ米国の喉元に
それがないのか.
ソ連の最高指導者
フルシチョフの強硬姿勢,
米国の喉元キューバに
ミサイル基地を建設する.
そんな折,
フルシチョフの強硬な
動きを危惧した軍高官
ペンコフスキーは,
西側に接触してきたのだ.

結果として,
これにより米国は
キューバのミサイル基地の
存在を知り,ケネディの
あの有名なテレビ演説を経て,
最終的にはソ連は
キューバのミサイル撤去を
決めた….

スリルとサスペンス,
その中にちょっぴり笑いもある.
そして,ソ連側の情報提供者
との間に芽生える友情のような
ものも感じることができる.
ソ連との往復,家庭,
夫婦間,人間臭さが
一層リアルな緊張感が走る.

決して007が悪いと
いうわけではなく,
ボンドとは違いド派手な
アクションは少ないからこそ,
それが逆にリアルに
感じられる.
実際のスパイ活動とは
そういったものなんだろう.

歴史とは
生きているから面白い.
1959年のキューバ革命.
1960年のキューバ・ソ連との共同コミュニケ.
1961年の米国キューバ間の
国交断絶.
その後トルコへのミサイル配備.
東西ベルリンの壁へと進む.
結局はトルコからも
キューバからも
互いの喉元に突きつけた剣は
その矛先を収めることに.

鉄のカーテンのような
情報遮断のような状況の中で,
ほんの小さなほころび,
小さな穴.
それが発展するストーリ.
国家は個人を利用し,
個人は祖国を裏切って
でも情報を流し,
自身の信念と平和を願う.
やはり人の考えは奥深い.

投稿者プロフィール

天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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