ローコンテクストの米国には不可欠「ボストン市庁舎」

ボストン市庁舎

オススメ度:★★★★☆(3.8)
理由:行政のあり方,行政サービスとは
こうあるべき.淡々と日常を描き出すことで
見えてくる市庁舎の姿.
真摯に向き合う職員たち.
行政対応というのは,
こういうことだったのか.
行政に携わる人に必見な作品だ.

上映時間がなんと272分という,
4時間半と長い放映時間.
途中に休憩時間が
15分間用意されている.
本作はドキュメンタリー映画.
マサチューセッツ・
ボストン市役所の取材だ.

インタビューなどは
全く無い.
淡々と市庁舎の日常が
延々と綴られている.
当時のマーティ・ウォルシュ市長.
やはりこの市長が凄い.
こうした市長の姿勢が
そのまま配下全体へと広がっていく.
リーダーシップというのは,
権力行使ではなく,
つくづくその姿勢なんだと
感じざるを得ない.
優秀な指導者の下で働く職員には
そんなプライドがあるように映る.
生き生きと仕事している
ようにも見えるのだ.

そして
行政とは,政治とは
如何にあるべきか.
市民との対話とは
何を持ってして,言うのか.
人の話に耳を傾けるとは,
相当の我慢・辛抱が必要だ.
聞く耳を持つとは,苦痛だろう.
意見の全く反対な人は
そもそも,根底が違う.
それでも,その人の話を聴く.
その姿勢が大事なんだ.

まさに「なんでもやります課」
それは解決策はない,
だから「鋭意検討します」
しかないかもしれない.
根本的な解決には
すごく時間がかかる.
まずは聴くことから
しかはじめるしかない.

確かに反トランプの映画の
ように見える.
まさに辛抱と我慢.
民主主義とは大変な舵取りだ.

人々の意見を幅広く聴くとは,
簡単そうで難しい.
市職員がこんなにも熱いとは.
エビセンスに基づく議論は
日頃の問題意識の高さを
物語っている.
語るためには,思っている
ことが事実かどうか,
自分の仮説が
あっているかとうか.
地味な仕事ではあるが,
やっぱり必要な過程なのだ.

銃規制の問題.
学校での銃乱射事件が
後をたたない.モノがあるあら
そうした事件が発生するのだ.
モノを規制すれば,
少なくとも事故は減るはずだ.
底に立ちはだかる利権.
ライフル協会.
葉に衣を着せない語り口が,
聴いてて気持ちいい.

ワイズマン監督ならではの発想,
鋭い切り口,アメリカの
民主主義の奥深さ

暗黙知のハイコンテクストの
我が国と,知識やカルチャーが
なくても,とにかく
シンプルコミュニケーションを
第一とする
ローコンテクストの国.
アメリカ.
その前提が浮き彫りなる作品だ,

でも,必ずしも黙して語らずが,
良いとは限らない.我が国にも
必要な手段かもしれない.

投稿者プロフィール

天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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