奇跡でなく儚い現実こそ美しい「余命10年」

余命10年

オススメ度:★★★★☆(4.3)
理由:最初は,
過去にあちらこちらに,
あったような,
ありがちなタイトル.
お涙頂戴ものの作品かな?と
斜に構えて鑑賞.全く良い意味で
期待を見事に裏切られた.
こりゃ,やられました.
辛い悲しい切ない苦しい…
そして時には諦め,でも…
そんな絶望の中にも
美しいものがあるはずだ.
胸を打つ作品だった.

難病を患っていた小坂流加に
よる実話を元にした今や
65万部突破のベストセラー
「余命10年」

一部原作とは設定は違うが,
素晴らしい作品には違いない.
たとえ後悔すると,
わかっていても,
それでもこの感情は止められない.
だから絶対に恋はしないと決める.
気持ちが痛いほどわかる.
でも現実は,たとえ,そう決めても,
愛が止まらないのだ.
だからこそ「会わなきゃ良かった」
という言葉に集約される.そして
泣ける.共感する.
その「切なさ」
そして「愛しさ」が伝わる.
人は,
生きとし生きる人に
その長さに違いは
あるものの
誰しも命には限りがある.
生き方の問題なのかもしれない.

余命が10年ぐらい…
そうだとはわかって
しまったら,
冷静に,それを真に
受け止めることが
果たして,自分には
できるだろうか.
あれもやりたい,
これもやりたい,
でも余命がないから
途中で投げやりになる
気持ちもわかる.
それがヒシヒシと
観客に伝わるのは,
相当演技が上手いのか,
脚本が良いのか.

いや.
それに加えて,
私は自身の辛い
入院生活が重なった.

生まれたものは
永遠ではなく,
必ず衰え死を迎える.
死と向かいながらも,
茉莉の生き様と優しさが
共感を生むのだ.
茉莉を演ずる小松菜奈,
和人を演じる坂口健太郎.
こりゃ涙が止まらない.

毎日の移り変わり.
毎日毎日が何気なく
過ぎ去るのではなくて,
ゆっくりゆっくりと
変化する四季を
感じとることが
如何に大事なことなのか.

さすが1年掛けて
撮影した作品だけの
ことあって,
四季の移り変わりが
見事に映像に現れている.
儚い桜がとても印象的だ.

10年間を僅か2時間余りに
凝縮し表現する…
やはり映画の醍醐味.

生きることに
執着しないために
絶対に辛くなるからと,
「恋愛はしない」と決心して
いても運命の出会いは
避けられないのかもしれない.

なぜこの私が,
そんな数万人に1人という
確率の不治の病になって
しまうのか.夢であったら
覚めてほしい.
明日寝て起きたら
治っているのでは?
という心境になるのではないか.
現実受け止めるのには
時間がかかる.
家族以外には
知られないように
極力弱さを見せないように
するその姿に心打たれる.

実話でないにせよ,
それに基づいた小説だからこそ,
とてもリアルさが際立っている.
芯がブレない作品に思えた.
これは名作だ.

投稿者プロフィール

天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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