のん監督に及第点「Ribbon」

ribbon

オススメ度:★★★☆☆(2.8)
理由:作品の完成度は
今ひとつだったかもしれません.
それでも十分楽しめた
内容ではある.
先の見えない時代だからこそ,
必要なものがある.

彼女の訴える内容は
観客に伝わったように思う.
作中では,確かにコロナ禍で
誰しも活動に制限がされ,
本来の自分が抑制され,
モヤモヤ感がたまる.

そんな状況で,
日常をどう生きるのか.
どう向き合うのか.
人生で一番輝く時間,
そんな時の真っ只中.

ほのぼのとした毎日の中で,
時には怠惰に過ごすことも
あるし,「そうじゃない」と
抵抗する自分も存在する.
クスッと笑えるシーンもあり,
映像表現に工夫もあり,
観ていて
何か心に残るものが
あったのは間違いない.
ワクワク感が伝わった.
だた,もっとスクリーンの
中で大暴れしても良いのかな?
とも思った次第.

あの朝ドラ「あまちゃん」
多才な彼女を応援したくなる.
浅川いつか役を演ずる「のん」が,
メガホンをとる.
主演・企画・監督・脚本・編集
までをやっている.こんな風に
創作する彼女.その視点は面白い.
表現の仕方も個性がある.
これから,ますます磨きが
かかってくるかもしれない.

新型コロナウィルスは
楽しい学園生活を一転させた.
2020年,特に中でも芸大では
制作発表が制約され,満足
できなったのだろう.
本作では,舞台を美大にし,
卒業制作展が中止になる設定.

そんな学生の想いを表現したものだ.
厳しい状況の中にあって,
家族や友人,卒業作品を残したい
という思い.コミュニケーションも
マスクで人の表情が隠れてしまい,
それが様々なところで阻害される.

作品は冒頭から,
やっぱり想定通りの大したことない
作品かな?と思いつつ,鑑賞を始める.
ん,一体何があったんだろうか.
恋愛にいくのかな.それとも友情を
深めるのかな.待てよ.
ちょっと違うな,いや,意外にも…
と少しずつ溶け込んでいく作品だ.

心理描写がちょっぴり描かれてる
ように思う.浅川家のユニークな
家族関係,多少チグハグな家族,
それがまたコロナ禍でほっこり
させてくれる.
どんな環境の中でも,
やれることをする.
自分が納得のいく,
そんな後悔しない
なんな「時」を
過ごすことが大事なんだ.

美大生の多くが,おそらく
完成した作品も未完成な作品も,
「作品はゴミじゃない…」
と思っているはず.
自分の作品が
当然気に入らなくても,
ゴミではないのだ.

母がなんと言おうと,
人がなんと言おうと,
自分がその作品と
どう向き合うかだ.
環境は変えられないが,
自分の立ち位置や考え方は
無限大だ.
それには
必ず価値があるはずだ.
そう信じたい.

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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