エヴァの原点を観た「シン・ウルトラマン」


オススメ度:★★★★☆(4.2)
理由:天才・奇才庵野の思いが詰まった作品.
天才であり,それでいてとっても
ピュアな心もっていなければ,こうは描けない.
本作を通じてピュアな
庵野の気持ちに少しでも近づくことが
できるのではないか.

円谷と東宝そして
エヴァのカラーが共同で製作,
庵野秀明が企画・脚本をし,
監督は樋口真嗣.
まさに庵野にとっての
エヴァの原点にある
「ウルトラマン」

なぜ,地球人でもない
ウルトラマンが地球のために戦うのか?
普通は侵略に来るでしょ?
その矛盾にどう応えることが出来るか.
本作にはその答えが
凝縮されているように思う.
あまりに透明度の深いメッセージが
含まれているようにも思える.

科学特捜隊は「禍特対」
怪獣は「禍威獣」
言葉遊びがニクイ.

その禍威獣も本作では
3つに分類されている.
放置されていた「生物兵器」としての禍威獣
「巨大不明生物」としての禍威獣
そして「敵性大型生物」に.

そして「禍」

この禍は災,厄にも通じる.

さて本作のウルトラマンであるが,
個人的には,Netflixの
ULTRAMANに何らかの形で
絡めてほしかった.そして
ハヤタ隊員が見たかった.

でも斎藤工演じる「神永新二」
名前のシンジがエヴァとダブる.
このあたりも凝っている.

「禍特対」の
ヲタク系キャラにも注目したい.
理学研究科といえば,
素粒子を扱う物理学,
つまりは量子物理を扱うところに,
敢えてスケール不変性という
非粒子物理学をあてている.
ハーバード大学の
ハワード・ジョージ教授提唱した理論
スケール不変性
という,なんとも奇妙なとされる.

そしてご存知.
原子番号133「スペシウム」
もちろん存在しない架空の原子番号.

登場する語彙にも
様々に工夫がなされている.
それを紐解くのも面白い.
「リピア」とは
ヒメイワダレソウのこと.
花言葉は「絆」や「誠実」

「私のことを思ってください」

「誠実」というのは,
実のところ,暑い夏の日にも
白く小さな花を頑張って
たくさん咲かせる真面目な様子から
来ている花言葉のようだ.

言葉遊びが本当に半端ない.
凝っっていて二倍三倍と楽しめる.

少しネタバレになるけど↓↓
↓↓↓↓【ネタバレ注意】↓↓↓↓↓↓
最後に惑星をも破壊するという
文字通りお終い…というゼットン
「天体制圧用最終兵器」
そして,
外星人という知的生命体.

あの庵野さんのことだから,
脚本に繊細さが感じられる.
「光の国」ではなく「光の星」に.
確かに今どきでは,国は狭義の意味に
聞こえてしまう.
そして宇宙人を,
その惑星の人という意味ではなく
「外星人」とするあたり….

ドラえもんのスモルライトと
ビックライトを思わせるような
物質を巨大化できる装置の
「ベーターシステム」の存在.
かなり大人の要素が
多分に加えられた作品だ.
深読みすればするほどに
味わえる.

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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