オススメ度:★★★★☆(4.4)
理由:脚本が甘く,不自然なところも
多々あるが,それでもこの切なさ,
苦しみが伝わってくる.
人はどこかに闇を抱えながら,
それでも生きていくのか.切ない.
そして共感した.
原作は本屋大賞の凪良ゆう著
ダブル主演の家内更紗を広瀬すずが
佐伯文を松坂桃李が演じる.
脚本にハテナがあって.
ちょっと残念なところも
確かにありますが,
二人の持つ感情,家庭環境,
“つながり”と”断絶”の大テーマ
からすれば,あまり影響ない範囲
ではないかと,多目に目をつぶって
ストーリーに没頭した方がよさそう.
ハテナとは,例えば,本当に
誘拐されてもいないのに,
なぜ取り調べの時に10歳の少女更紗は,
きっちり言えなかったのか?
10歳とは言え,ちゃんと話すことは
できたのではないか?と言ったハテナ.
二人の間に離れたくない絆のようなものが
あったとしたら尚更不自然.少女が警察の
誘導で「何も言えなかった」のは,
本当に不自然ではあります.が,
作品の流れには影響ない範囲
ではないかと思料しました.
とにかく理不尽がまかり通る
世の中.多少に不自然さには
作品の流れからすれば,
目をつぶっても良いかな,
と感じた次第.
今は決して「
傷物にされた可哀想な女の子」
ではないのに,世間からは
いつまでもそう見られる.
性的虐待されるづけて
きた少女を,かくまったばかりに
逮捕され世間から文は
「ロリコンで凶悪な誘拐犯」
としてレッテルを
刑期を終えてもなお,
ずっと貼られる続ける.
ひっそりと世間の目から
隠れるように生きてきた文.
あの事件から15年の歳月が流れ
過ぎても世間の視線は変わらない.
恋愛でもない,そしてまた
友情でもない2人の関係.
これは切ない.
事実と真実.
互いのトラウマ.
そして葛藤.
決して知られたくない秘密.
そして闇が深い.
ジェンダー,多様性を認める
時代になったとは言え,
本音の部分にまできちんと
向き合い,差別のない時代とは
今は果たして言えるのかどうか.
誹謗中傷,社会から逸脱した
人間とは,復帰を認めようとは
しないのか.
監視社会,民間警察.
一定の枠の中から出た人間を認めない.
ずっと成長しないという
苦悩を抱えるとは,
一体どんな辛さなんだろう.
三次元で二人が一つに
ならなくても,高次元で
繋がっていれば,
それだけもいいような気もする.
この深い闇.
そこに二人がたどり着く
未来はあるのか.やはり切ない.
すっかりハマってしまい,
切なさに共感し泣けた.
いい作品でした.
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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