これはもう一度観なければならない作品「映画はアリスから始まった」

アリス

オススメ度:☆☆☆☆☆(評価不可)
理由:はっきり言って,
これは映画マニアでなければ,
眠くなる作品.
映画監督ドキュメンタリーとして
映画好きにはオススメだが,
それ以外の人にとっては眠くなる.

しかし…

その奥底に流れる彼女のバイタリティと
性差による差別や偏見.
男性優位の映画業界にあって,
そんな環境において,諦めずに奮闘する
彼女の生き様.

どんな環境にこの身を置こうと
やりたいことをする!

約一世紀を生き抜いた
アリスの生き方.
これはもう一度,
確認しなければならない
作品に違いない.

彼女の創発と斬新な機転.
これは高く評価できる.
しかしその不遇さに
当時のジェンダーを感じる.
逆に,こうした史実が残らない
現実を見せつけられえ,
別の視点に立てば,
意味のある作品かもしれない.
もう一度確認する必要がありそうだ.
Wikiによれば,
アリス・ギイ=ブラシェは,
映画監督であり,脚本家,
映画プロデューサー.
そして何と言っても
「映画史上初の女性映画監督」
「映画草創期」の
1896年から1920年の間で
フランスとアメリカで
1000本以上の作品を
手がけた偉人.

トーキー,そして
カラー映画を手がけ,
しかも特殊効果や
現代的な映画演技法を
採り入れたという.

まさに映画のパイオニア.
そんな彼女の
ドキュメンタリー作品だ.

フランス生まれの彼女.
スイス,南米チリ,再び
フランスへ.
才能豊かな彼女は
不遇の環境の中にあって,
タイピングを速記について学び,
製造販売会社の秘書として
家族を養ったという.

その後,社長代理秘書を経て,
数多くの著名人のご縁を
いただくことになる.

そこで映画というものに出会うのだ.

彼女の自伝には
フィルム現像と焼き付けのための
研究所を作り,
そこで軍隊の行進・列車の離発着
などの実写映画を
撮影したという.

「若さ、未熟さ、女性であること、そんなすべてが私の力」

すべての機動力は自分自身として,
他人や環境をアテにせず,
すべての源は自分とした考え方.
だから
「秘書としての仕事の妨げにならないこと」
という条件付きでも映画撮影ができたのだ.

フィルムの逆回転,
オーバーラップ,
スローモーション,
画面を重ね合わせるマスキング,
二重露光…
当時ではまだ革新的だった
特殊効果を使用したという.

当時の男性優位の映画業界にあって,
さらには世界恐慌と重なり,
若くして映画業界を去った彼女.

彼女の自伝は没後に刊行されて,
ようやくドキュメンタリー作品が
できたのである.

何にでも興味を示し,
つねに科学の進歩や新しい文学に
好奇心を持っていた彼女の姿勢には
見習うところが多い.

秘書から,映画製作責任者になり,
さらには監督へ.英国から渡米.
女性ということもあって,
彼女のフィルムが残っていない.
こうした才女がまだ数多く
歴史上には埋もれているに違いない.

もう一度,彼女に会いに行く予定だ.

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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