どうにもならない時,どう向き合えばいいか「ぜんぶ、ボクのせい」

ぼくのせい(1)

オススメ度:★★★★☆(4.2)
理由:環境による影響は大きい.
でもたとえ物質的に裕福でも
貧乏でも,心と身体のバランスが
重要なんだろう.
ツッコミどころ満載の作品ではあるが,
優太,詩織,坂本の3人の
人間関係が見事に交叉し,
何が本当の幸せかを
考えさせられる作品だ.

人間関係を描く名作には
登場人物が少ない.
主役の養護施設を抜け出した
優太は中学生,
裕福の家庭にあって自分を
傷つける詩織は高校生,
そしてホームレスで
母親から虐待を受けた過去を
持つ坂本の3人だ.

中でも優太役の白鳥晴都の
演技が光る.詩織役の川島鈴遥,
オダギリジョーが
ホームレスの坂本を演じる.

上映中に休むことなく
引き込まれる人間模様.

「万引き家族」も
人間模様を描いた作品で,
似たイメージではある

人は所詮孤独なのか.
いや,やはり一人では
生きていけないのだ.
寄り添う仲間が
必要なんだ.

優太の母親は,
とんでもないクズでカスなのに,
なぜそこまで母を慕うのか.
彼にとっては,
おそらく母親は生きる拠り所
なんだろう.
だから良い思い出だけを残し,
都合の悪い記憶は蓋をし,
それは,
もう二度と裕太自身が
傷つきたくないと
思っているからなんだろう.

中学生の優太は,
養護施設で母の迎えを待つ.
どうしても母に逢いたい優太は,
母親の居場所を知り,
母に会うため施設を抜け出す.
そこで見たものは,
紐のような男に,
それにすがりながら
生きる母親の姿があった.

失意に暮れた優太の前に
偶然現れたホームレスの坂本.

意気投合した2人.
優太がホームレスと
一緒に寝食するようになるのも
わかる気がする.

優太は,僅かな希望の光を
ホームレスの坂本とともに
することで求めたのかも
しれない.だから彼を
亡くしたことで,
何もかも捨てた
くったのではないか.

「ぜんぶ,ぼくのせい」

詩織,いくら環境が良くても,
心にぽっかり穴が
空くこともあろう.
傷つきたくなくても,
思っていることを家族に
父親に,姉に
はっきり問えば
いいのに,二度と
傷つきたくないからと
「問わない」という
防衛に入ってしまう心境.

優太がホームレスの
坂本を父のように慕うように,
詩織もた,優太と坂本を慕う.

エンドロールの10分前.
なんだか,
観ているこちらが
取り残された気分だ.
少し捻りが欲しかった
気もするが….

エンドロールの
大瀧詠一の「夢で逢えたら」

♬ 夢でもし 逢えたら 素敵なことね ♬
♬ あなたに逢えるまで 眠り続けたい ♬

現実に生きるより,
夢で逢えたら本当に素敵だ.
現実には,本当に欲しい母親や
父親が存在しないなら,
せめて夢で逢いたいはずだ.

良い作品だった.

ぼくのせい(2)

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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