非現実な制度だけどリアル過ぎる「PLAN 75」

PLAN75

オススメ度:★★★★☆(4.1)
理由:申請する側と受ける側.
これは尊厳死ではなく,安楽死.
人為的に寿命を短くする.
国民負担を減らす目的ではあるが,
それでも個・個人の状況でそれを
選択せざるを得ない事情もあろう.
孤独死するぐらいなら,安楽死を
選ぶもの多くの選択肢のひとつと
考える人もしるかもしれない.
一方,それを受け取る申請を受理する側.
サポートする側はどうか.収入を
得るためだけではなく,看取りの
気持ちもあるかもしれない.

でも…
尊厳死は延命治療を施さずに
自然な最期を迎えること.
安楽死は人為的に寿命を
短くさせることで犯罪だ.

日本政府は少子高齢化社会の
対応として,画期的な方針を
示した.正解のない問いに
対して今後どのように
対応していくのか,
考えさせられる一面だ.

政府は75歳以上の高齢者に対し,
自らの生死の権利を保障し
支援する制度.

「PLAN 75」を施行した.

要介護の指定を受ける前に,
元気なうちに死を選ぶ権利だ.
他方,崩壊に近い年金制度の
打開策として,
近未来に議論されるかも
しれない問題でもある.
それだけにリアル過ぎる.

一方,人生100年時代.
75歳を超えても
「まだ,働きたい」という
需要はあるだろう.
しかし現実には高齢者を
雇うとなるとリスクを伴う.
従って,その労働力を
欲する供給は,ほぼ皆無.

労働は人の命とは違う.
社会に貢献できない人間は
いわゆる,社会のお荷物なのか.
そうした考え方が怖い.

また,リタイヤした人の中には
少しでも社会に貢献し結びつきを
気概にしている人も多いだろう.

それは,
人がマズローの第三,第四の欲求,
所属の欲求.承認の欲求を
欲するからだろう.

市役所の申請窓口.
そして被保険者をサポートする
コールサポートセンター,
よくできている脚本だ.

市役所申請窓口で働く
岡部ヒロム役を演じる磯村勇斗.
彼の申請を受け付ける被保険者に
対する優しい目線.

コールサポートセンターの
河合優実演ずる成宮瑶子は,
被保険者の倍賞千恵子演ずる
角谷ミチに,
公私混同で規則違反であるも,
プライベートで逢ってしまう.

心が揺らぐ気持ち.

どちらも共感するところがある.

そして,被保険者の
現場で外国人作業員として働く
ステファニー・アリアンが演じる
マリアは,心臓の悪い我が娘の
ために日本で働いている.

厳しい現実にマッチしていて
拙速な制度ではあるも,
現実味があるリアルな設定に
少し怖くなる.

この制度を選択する75歳以上の
人たち苦悩,申請する側と受け側の
心の触れ合いを通じて,
鑑賞した私達が,
それにどう向き合うかが
問いているようにも思える.

安楽死なのか.
あるいは「口減らし」のための
恐山の姥捨て山なのか.
被保険者は他人に迷惑を
かけたくないという思い.
そして,送る側は,
心落ち着き穏やかに
旅立て欲しいという気持ち.

今後増えると
想定される独居老人.
社会に一石を
投じた作品に違いない.

投稿者プロフィール

天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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