爽快!あっぱれ!希望が垣間見えた瞬間「アキラとあきら」

あきら

オススメ度:★★★★☆(3.8)
理由:久し振りのスッキリ爽やかな作品.
まさに水戸黄門系作品だ.
ただ,悪代官が存在するわけではなく,
アントレプレナー的な感覚.
悪者を正すのではなく,諦めずに進む.
これは.作品に引き込まれるハズだ.

ご存知池井戸潤の小説.
内容も薄々わかっていながら,
それでも吸い込まれる感覚.
これは一体何だ.
それは根っからのワルが居ないからではないか.
そして豪華キャストの面々.
特に主役の二人が絶妙だ.
その二人のアキラを六本木クラスの竹内涼真,
もう一方を流浪の月の横浜流星が演じる.
バンカーを目指した二人の人生.
一方は,父が経営していた町工場が
倒産という過酷な体験をしたあきら,
そしてもう一方は,
大企業の御曹司でありながら,
醜い血縁争いの環境で育ったアキラ.
情に厚いあきらと沈着冷静なアキラ.
全く癖の違う優秀な銀行マン,バンカーの二人.

経済学の父アダム・スミスが説いた経済とは,
「神の見えざる手」という自由主義の前提には,
「利己心」より「利他心」.
常に自身の心の中に公平な観察者を置く.
そして観察者が非難するような行為は避ける.
称賛するような行為を推進する,それは
「道徳」といってもいい.
まさに道徳心で,アキラとあきらが
人として「徳」があるかが試される時だ.
試練は人生の中に,そうそうにない.
利他心・道徳には共感が生まれる.

本作品はWOWOWのドラマよりも
作品時間が遥かに短い.
その中に収まり切れるのだろうかと
不安もあったが見事!
やはり,これぞ映画作品.
あの沢山のエピソードを約2時間に
よくもまあ,収められたものです.
だから退屈なシーンが全くなく,
研ぎ澄まされた作品.
何一つ無駄がない.
というよりも余白,のりしろがない.
だからこの時間に収まったとも言える.
遊びがないからツッコミどころあるが,
考える余地を鑑賞者に与えない.

練り込められた骨太作品というよりも,
ホント爽快で軽やかな作品だ.

明日の生活がかかる時,
悪魔に魂を売ってでも,
それを完遂したい.そんな思い.
そんな時人はどうするか,返済もできない.
命も差し出せない,
ならば,やっぱりやることは
「ごめんなさい」を
最大限に表現する「土下座」
しかなんでしょうね.
だからこれも共感するんだ.

「正義」があって「倒すべき悪者」が
存在しない,敵が存在しないが,
実は見えない敵が居て,
それが自分自身だったする.
困難に向かってどう立ち向かうのか.
必ずしも決裁者が悪いわけでもないし,
貸与しないと決定した
金融機関が悪いわけでもない.
そんな環境に身をおいた場合,
今何が出来るか.
そうすればいいか.「考えるな行動しろ」
なにか手を打て!
そういう意味でスカッと
爽やかな作品なのだ.

人は時には卑屈になることもある.
歯ぎしりをしたくなるような
想いもある.
起きた事象は常にニュートラル.
その中でどう生きるかだ.
プラスにもマイナスにも…考え方次第だ.

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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