オススメ度：★★★★☆(4.1)
理由：これは単なる水戸黄門作品ではない．
後味もスッキリ．それでいてしっかり
時代背景も大寧に描かれており，
その家政婦であるミセス・ハリスの
人柄や心の動きが見えて，
彼女を応援したくなる．
勇気と希望を貰える作品だ．
1950年代，ロンドンで家政婦として
働くミセス・ハリス．
第二次大戦に出征したまま夫は
未だ帰らずだ．ある日彼女は
雇い主の部屋で見つけた
クリスチャン・ディオールのドレスに
一目惚れをした．そこでディオールの
ドレスを買うために翻弄する．
まずは必死にお金を貯める．
それが涙ぐましい．
それでも結局無一文になる
寸前にまでに落ち込む事，
数知れず…．
失敗続きで凹むことも多い．
そこを彼女の明るい性格から
事が良い方向に運命が回り始める．
パリへの渡航費，
そしてドレスの費用500ポンドを
なんとか工面し，かパリへと発つ．
彼女は階級社会での
差別をももろともせず，
それが良い方向に進んでいく．
そして応援する人が現れる．
老舗メゾンを陰で支える
お針子さんを味方につける．
次に専属モデルたち．
街に溢れた労働者．
ミセス・ハリスは
その持ち前の明るさと
素直さと人の良さで
彼ら彼女らから共感を得る．
階級社会にあって，
お得意のお客さまだけに
1点もののドレスを提供する
オートクチュールのディオール．
当時のパリ．サルトル哲学にも
振れられることができ，奥深い．
単なるドリームものの作品ではない．
夢とは，その服がどこへも
着ていくところが無くとも，
そんなことは，本当はどうでも
良くて，憧れ．むしろ…
考えないところが正に夢なのだ．
素直に好きなことを
我慢しない姿勢に
引き込まれていく．
貴族社会からすれば，
家政婦は透明人間で
「インヴィジブル」
らしい．
でも彼女はそれを逆手にとる．
お人好しで気の優しい
ミセス・ハリスのような人に
人は憧れるのだ．
これまでのディオールの
ブランド戦略が，財政を圧迫し，
結局は曲がり角にあって
プレタポルテへの転換期にも
なった時代．
口角を上げて笑っていれば，
運気もアップすると思える作品．
奇想天外の展開は，人々に夢を与えてくれる．
この手の作品の主人公は
少年少女が，夢諦めないで
前向きに生きると夢が叶う…
といったところが定番だが，
実は老若男女，歳や性別に関係ないのだ．
歳を取っていようと，
やりたいことをすればいいということだ．
この作品はそんなことを
教えてくれえる．
大器晩成，人生は捨てたもんじゃない．
人生はまさかの連続．
だから「あり得ないでしょ」の
連続の本作品はクスッと笑いながら，
存分に楽しめる内容になっている．
たとえ凹んでいても
前を向きたくなるそんな仕上がりだ．
勇気をもだった作品だ．
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士（工学）。修士（経済学）。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある．ブログは映画感想を中心に書いている。
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