2006年、中島哲也監督の映画。同年内山理名主演でテレビドラマ化されたもの。
フロイトのエディプスコンプレックスや、宮沢賢治のような不思議な感覚、そしてソフィーの世界。様々なものが通り過ぎた。
その場しのぎの取り繕いが、ここまで人生の歯車を逆回転させる、その凄さ。過激に、しかも、ミュージカルありコメディあり、涙あり。
ありえない世界ではあるが、一部に希望もあり描き方。中谷美紀演ずる松子。すごい人生。「生まれて、すみません」ああ、こんなこと言わなくてもいいのに。複雑な心理が働き、そこで次の行動が伴う。なんでこんな行動になってしまうのか。気持ちはわかる。わかるけどやりきれない。その人のいに沿った生き方、捧げることが愛すること、そう思って献身しているつもりが、なぜここまで反対方向に回転するのか。
はじめは歪んだ価値観かとも思ったが、そんな単純なものでもなさそうだ。
寄り添いたい、抱きしめられたい。愛情に欲するあまり、それが手に入れられないといった、もどかしさ。
音を上げるのは本音。本音のその先に本心があり、本心で素直に行動すれば、もう少し違った人生が歩めたかもしれない。タイミングもあろう。
安らぐ「場」を求めているのに、その「場」が得られないまま、ただ、故郷の筑後川に似た風景をアパート近くの荒川に求める。それが救いのばであった。
テンポが早くて、コミカルタッチであるが、この作品が訴える内容の濃さ。不幸の中に希望という光。その光も最後に失う。それが「やりきれない」もどかしさが残るのだろう。
心に刺さる映画でした。
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人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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