まさにブラックコメディ。20年もの間、スターリンによって支配されていた恐怖政治。秘密警察による粛清。
そのスターリンが1953年に亡くなり、後継者争いを繰り広げる。その様が愉快・痛快・ブラック。何でもありの世界。目まぐるしく入れ替わる勢力地図。簡単に人を殺す残忍で卑劣。それでいて、苦笑いしたくなる作品。
スターリンの影響力。半端じゃない。欲しいものは何でも手に入れてしまう。いや、頼まれたら断れない現実。できないと「粛清リスト」に記載される。
かつて、武田信玄や秀吉の死を漏らさないように。それと少し重なるもその方法が半端ない。世間を欺く。加えて凄いのが、それを知った人は抹殺されるか収容所送りという徹底ぶり。まさに恐怖政治。
そんな中にあって、側近たちの行動が凄い。秘密警察の隊長ペリヤ。モロトフ。腹心のマレンコフ。第一書記のフルシチョフ。側近たちは最高権力の座を狙う。
スターリンが倒れて医者を呼ぶのか呼ばないのかと議論するも、
結局は毒殺などと、あらぬ疑いを避ける余り様子見。
そうした行動、滑稽ではあるが、単純に笑えない。
政治の駆け引きというのはもう言うものでしょうか。
国民には厳粛な国葬の準備を進めながら、一方では権力の座を狙って駆け引きをする。その駆け引きには、簡単に銃で射抜いてしまうことに恐怖を感じる。
この作品、スターリンの死やの権力争いの顛末を、ほぼ忠実に描いているとは思います。でもそれがまた、アホらしさの中に、怖さを感じずにいられない。
一見そうした恐怖政治は現在は終焉を迎えたように見える。でも、今の社会でも一つ間違えばどこでも起こり得ることだけに、不安感に駆られます。われわれ一市民もちゃんと政治をチェックしていく必要があるかも知れませんね。
ブッラクコメディではありますが、考えさせられる作品でした。
投稿者プロフィール

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人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」
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