その人の人生の一端をかみ塗ることができた作品「世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ」

ホセ・ムヒカ

やはり,
その全ての出来事が次の行動に繋がり,
決して後から振り返ると
人生には無意味なものは,
何ひとつもないと言うことだ.
これは勉強になった.

歴史を知る,
生き方に学ぶ,
うえでは価値ある作品だ.

オススメ度:★★☆☆☆(2.8)
理由:本作品の残念なところは,
任期満了の1年だけがクローズアップ
されており本来,彼のドキュメンタリーならば,
その生い立ちから含めて,
描けていたら…もっと良い作品になっただろう.
一部共感した点はあったものの,
涙が出るほど感動した,魂が揺さぶられた,
ということは無かった.

元ウルグアイ大統領ホセ・ムヒカ.
絵本がベストセラーになった.
「世界で一番貧しい国の大統領」として
TVにも取り上げられた.その点で有名な大統領.
そしてあまりにも有名なスピーチ.
ただこの作品はそうした一面とは違う.

本作品は大統領任期満了になる最後の1年間.
本人の生の声が聞ける.
ただ,形こそドキュメンタリー作品ではあるが,
座談会と言った方が良い内容でもあり,
そこにストーリー性はあまり感じない.
それでも,あらためて,彼の生き様が浮き彫りになった.

左翼ゲリラ,13年間もの収監生活.
ゲリラ時代には,銀行を襲ったりもした.
銃撃も受けたという.
彼自身の思想は,驚くべきことに反資本主義.
つまりは社会主義を掲げていたのだ.

社会主義というよりも,
彼の実直な生き方に共感する.
国民の生活水準,平均を上げることに注力した.
ボラティリティを低く抑えることが
結局は不平不満が国民からでない.
そうすれば政治情勢を不安にすることもない.
国民全体のことを考えたうえでの行動だろう.

彼が言葉として放った
「その時の善が悪にもなり、また悪が善になる」
まさに一瞬先は闇.今までの常識が覆される.
右翼と左翼といえば,モノの見方まで変わる.
それも良いことと悪いことがひっくり返るのだ.
なんだか「ジョーカー」(2019.10.22)を思い出す.
(その左翼ゲリラ時代のことについて,もっと知りたかった.)

何が正義で何が犯罪で悪なのか.
正義を振りかざす警官が
黒人差別と思われる行為をする.
まさに反対に動くことになる.

また,彼には「子どもがいない」
獄中生活が長すぎて,彼には子どもがいない.
だからこそ,ご近所さん,
国の子どもたちに支援のための教育に
注力したとも言える.

彼は富を追うことなく,
自身の収入の大半を貧しい人々に
財団を介して寄付.
手元には千ドル程度.
さらに一緒に共に活躍した
元副大統領でもある夫人のルシアも
素晴らしい.

仕事の合間にはトラクターに乗り,
畑に行く.
「国民に選ばれたなら,国民と同じ暮らしをすべきだ」
公用車にも乗らず,
上着は何度も洗って使う.質素なものだ.

ホセ・ムサカ.
まさに自己犠牲の人だ.

昨今のニュースでは,
票の取りまとめを依頼し,
お金をばら撒いた疑いで逮捕されたような,
どこかの夫妻もいた.

その潔さ,政治姿勢,
何もかもが「月とすっぽん」だ.
比べること事態ナンセンスだ.

「あの投獄の長い生活も有意義だった」
と語る言葉に重みがある.

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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