「愛がなんだ」観ました

愛がなんだ

ポスターにあるように
「全部が好き でも なんでだろう、私は彼の恋人じゃない。」
恋愛映画ではありますが、観終えた後に、なんともモヤモヤ感、切なさが残る。そしてわかったことは、そうなんだ。それが大半で現実。わかる、かわる、と思わず結論付けてしまった。そんな作品でした。誰かを好きになるのは理屈ではない…。なぜ、その人のことが好きになったのか。理由などわからないかも知れない。結局、傍から見てなんであんな奴と…と思う人と一緒になっている現実を見ると、そうした複雑怪奇なものが恋愛なんだろう。

さて作品の話を戻します。この作品は、直木賞作家の角田光代の映画化です。角田光代といえば、宮沢りえ主演の「紙の月」そして井上真央&永作博美永作主演の「八日目の蝉」。
角田光代の作品は、「めでたい・めでたい」では絶対終わらんのだろうなぁ~。想定していた期待通りの展開で、苦しくも、そして切ない、でも、人間って大丈夫です。結構丈夫です。どんな辛いことが遭っても死なずに生きてます。そんな気持ちになります。

この作品の主演は、なんとNHK朝ドラ「まんぷく」のタカちゃん役だった岸井ゆきの。ゆきのが演ずる山田テルコ。そしてその相手役の田中守を演ずるのは「スマホを落としただけなのに」に出演していた成田凌。

28歳のアラサー女性テルコ。田中守に完全に逝かれてしまい片想いの状態。ちょっとした適当な守からの呼び出しにも何でも応じてしまう。まさに生活はもちろん、仕事よりも守が中心。しかし相手の守の方は、そんな気持ちなど全くない。単なる便利なお友達感覚。だから守はテルコに付かず離れずの曖昧な状態が続く。互いに「付き合っている」と宣言したわけでもなく、なんとなく微妙な関係が続くのだ。そんな守には、実は年上の女性「すみれ」に片想いなのである。もちろん、それをテルコには告白している。守はテルコに協力を求める。そういう意味では守にとって、テルコはすみれの代わりだったかも知れない。

そしてテルコの親友の葉子は、逆に男友達を顎で使うような存在。顎で操られる男、仲原は、まさに葉子に片想い。まるでその関係が守とテルコと対称に見えてしまう。

面白いのは、いずれの登場人物も、どれも恋愛の念願成就できていないこと、そして誰一人同じ思いのものは一つもないこと。全く同じ考えなど存在しない。悩んで悩みまくっても結論は出ないこと。守の気持ちも、仲原の一途な気持ちも、そしてテルコ、葉子、皆、そんな気持がわかってしまうのだ。加えて、誰一人として、「この人が悪い!」と決めつけられない、ちょっと、とんがり過ぎているところがあるだけ。それぞれ個性が尖っているだけなのだ。そんな複雑な人間関係、それが交差するのが恋愛なんだろう。★★★☆☆

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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