南京駅の到着。外国人は自動改札が使えず、パスポートとともに切符を係員に見せてゲートをくぐる。南京駅からは目的の「侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館」へは、タクシーで30分、地下鉄で約20程度と聞いたので、ここは思い切って、地下鉄で移動することにした。
上海の電子マネーカードは使えない。台北と同様、ICチップが埋め込んであるコインを自動券売機で購入して改札を通す。もちろん、ここも安全検査はある。1号線で新街口で2号線に乗り換える。雲錦路から徒5分程度である。
凄く大きな施設が目の前に広がる。彫刻は恐らく南京の一般市民、女性が亡くなった我が子を抱えて途方に暮れ、棒立ちしているのをイメージしたものだと思う。また逃げ惑う彫刻。
高く聳える中国国旗の「五星紅旗」が見える。
「日本軍の蛮行」という言葉に複雑な気持ちです。殺害された人数の「300,000」の数字がいきなり目の前に現れる。その数が正しいか正しくないかがよく議論されているが、それは別にして、少なくとも戦争なのだから、相手の軍人を殺戮することが前提となっているはずだとは思います。その中国軍人の数だけでも、捕虜とせずに相当数は殺戮したのは恐らく事実なんでしょう。戦争とは本当に悲惨です。
とにかくこの施設は非常に広く、広島の原爆資料館の数倍の規模ではないかと思う。穿った見方をすれば、この規模の施設の大きさの割には展示物やジオラマなど、質も量も追いついていないような気もします。また、メッセージ性が非常に強い内容になっているように感じました。
信憑性や史実との整合性はともかく、当時の事象がわかる展示内容にはなってます。国策としてこの記念館に力を入れている事も、よく感じられる。
特に資料には日本の新聞記事などがあり、見入ってしまうと、ほぼ一日を費やすことになると思う。ただ、先に述べたように政治的な面の色彩が強く、被害者の悔しい気持ちになる「愛国意識」をかきたてる内容にはなっているとは思いますが、それも致し方ないように感じます。学術的なレベルはともかく、加害者側の立場でモノを見る必要もあろうかと私は思う。入口では、中国の小旗が売られているし、献花の白い菊も売られていました。
戦争とは、いかに悲惨であるか、人の心をも狂わせてしまう、恐ろしさを誰しもが持っているということを忘れないようにしたい。普段はやさしいお父さん、八百屋のおじさんも、床屋さんも、サラリーマンも、赤紙一枚で招集されると軍人となる。戦争になると、こんなこともできるようになるのか。こうした異常な状態に貶めるのが戦争。でも戦争状態だからでは済まされないことも多く、悲しくてやりきれない気持ちにもなります。
展示してある資料は、ひとつひとつ全て日本語で書かれてあります。
展示内容やジオラマには、空襲も描かれており、それを含めて「虐殺」として扱っているので、その点からすれば、日本でも「空襲」で無差別に虐殺されたことなる。被害者を虐殺数に含めるのはどうかなぁとは思うが、最初に述べたとおり数の問題ではないように思います。
被害者の中国側の解釈の上にたって、加害者の立場で、それらの展示物を見るのがよいように思います。全てを鵜呑みにするのではなく、戦時中に起こったこととして俯瞰するのが良いと感じました。ただ、被害者と加害者の双方の証言、戦争当時から現代に至るまで日本では、どのように取り上げられていたか、中国から見た立場で日本を俯瞰する、どのような取り組みがなされているか垣間見ることができて、複雑な思いになりますが、行って良かったと思います。まだ半分しか見ていないので、あらためてもう一度足を運びたいとは思います。つづく
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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