時間軸を駆使し4次元で表現された優れた作品「ペイン・アンド・グローリー」

オススメ度:★★★☆☆(3.2)
理由:今の不安から救済してくれるのも自分自身.
現実と過去の回想の中で生きることで
自然治癒というのがあるのかもしれない.
そんな時間を創ること.
中々そんな時間は,日常生活に追われてつくることができない.
こんな時にこそ,こうした作品を通じて
自分自身を見つめ直すこともできるかもしれません.

人は結局,過去の中では生きていないが,
少なくともその経験が今の自分を形成しているに違いない.

有名な映画監督のサルバドールは,
脊椎痛により心身ともに疲れ果て,
日常生活もままならない状態.
肉親の死というのは,
そんな躰にさらに追い打ちをかける.

そんな彼自身の少年時代の苦い思い出.
そこに30数年前のメガホンをとった作品上映の依頼があった….

痛みというのは,すべてを奪い去るもの.
何も考えたくない.
そんな気持ち.いわゆる鬱にもなる.
なにもかもが嫌になる.わかるような気がする.

そんな中にあって,
ふと息を抜いた瞬間に神と対話できたりすることがある.
神がかりな出来事というのは日常には,
そんなに現れにくい.

過去の嫌な思い出も,
いや,ひょっとしたら嫌な思い出を
美化することによってもたらされる幸福も
あるのかもしれない.

自分の過去と対峙することで,
ようやく過去を清算できるのかもしれないのだ.
そう考えると
歳を取ることはそんなに悪いことではない.

だれしも年齢を重ねると
似たような体験をした人もいるかもしれない.
年輪というのはそうしたものだともいえる.

後悔は少なからずあろう.後悔があるからこそ,
人は強くもなれるのだ.
そして,その歳になってこそ,
はじめて過去の
あの出来事は何のメッセージだったのか,
それが理解できる,あるいは理解できたつもりになり,
自身の問題解決になることも多いと思う.

映画作品というものは,
映像に感情を入れることができるのかもしれない.
疲れ果てた鬱の色合い.貧しい中にあって温かい母親の愛.

ラストの映画の中にあって,
映画があるようなワンカットシーン.
これぞ映画の醍醐味かもしれません.

ガタのきた躰も何かのキッカケで
再び動き出すこともある.
かつて見えなかったものが見えてきたり,
偶然が偶然を呼び,ご縁が広がる.

3次元の映像が,時間軸が加わることによって
4次元へとつながるのだ.
人生とは何だろうか.作品を通じて,
自分自身の人生観を見つめ直すきっかけにもなろう.

ただ真剣見開かないと
睡魔に襲われてしまうのが難点だ(LOL)
味方によっては非常に良い作品にもなる,
そんな不思議な作品です.

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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