オススメ度:★★★☆☆(3.2)
理由:確かに作品の中身は
単に「お弁当の話し」で
それ以上でもそれ以下でもない.
全くそのとおりではある.
だからこそ…
何気ないことに泣けるシーンが
描かれていて,それが温かい.
ギスギスした部分がない.
この461個の弁当.
ただただ凄い.
最後の弁当の日.
とても印象的に描かれている.
弁当を作るだけの話だけに,
つまならいということはない.
丁寧に家族,親子の関係が
描かれているから,それが自然なのだ.
原作は渡辺俊美著
「461個の弁当は、親父と息子の男の約束」
実話を元にした作品だ.
ちなみに渡辺俊美は,
TOKYO No.1 SOUL SETのメンバー.
ミュージシャンである.
本作は2015年には
漫画化にもなり,
TV放映もされたようだ.
作者は,妻と離婚し,高校の息子と
二人暮らし.3年間の高校生活において,
息子の弁当を毎日作り続けたという.
それが461個のおべんとう.
父親役の井ノ原快彦の
ユルユルで自由奔放な感じがいい.
昨年観た「今日も嫌がらせ弁当」の
お父さん、息子バージョンだ.
それにしても,このお父さんは凄い.
そして,
決して息子に怒らないところが
良い.確かにどのように
振る舞っていいのか,
判らないこともある.
しかし,
それでも見守るしかないのだ.
それでも,やっぱり息子から
「あの人」と呼ばれるのは
少し寂しい.
ついつい親子だけに,
そして,男女だけに,
感情で怒りが,こみ上げることも
あろう.
しかしこのお父さんには,
それがない.
この作品を通じて,
私はまだまだ未熟だと
感じた次第.
「怒り」というのは,
すべてを台無しにする.
元夫婦だから,親子だから.
また実家の母親,そして姉.
ほんのりと温かい.
高校生という果敢な時期,
思春期特有の危うさや
不安定な情緒も
描かれている.
自由奔放な父の姿が
時には息子には
無責任に見えたの
かもしれません.
「いただきます」
「おはよう」
「いってらっしゃい」を
きちんと語れる親子.
相手を慮る言葉はいい.
また,父親が,
今日の弁当について,
決して
「今日のお弁当はどうだった?美味しかった?」
とは聞かないところがいい.
3年間の弁当作り.
父,別れた妻,子ども,
それぞれにドラマがあり,
葛藤もあろう.
高校の受験の失敗.
高校の友だちも一浪しての
高校入学だから,
ほぼ全員同級生は年下.
そんな中でも
友だちというのはいい.
有り難い存在だ.
良いクラスメイトに
恵まれること.
大切なのは,
あらためて,
「人」だと感じる.
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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