その少女の素直さに魂が洗われる「ヒトラーに盗られたうさぎ 」

うさぎ

オススメ度:★★★★☆(4.0)
理由:心が卑屈に
ならない生き方.
確かに元々裕福な環境で
あったりしたから
かもしれない.
それでも教養は思いやりや
心の豊かさを
形成するだろうし.
そうかもしれない.
貧乏なら
卑屈になるかもしれない.
だからこそ,
この素直な生き方に
感銘を覚える.

実話に基づく作品.
ドイツの絵本作家の少女時代に
体験した自伝的小説の映画化だ.
原本はウィキによれば,
「ヒトラーにぬすまれたももいろうさぎ」
[When Hitler Stole Pink Rabbit]

という絵本だそうだ.

1933年ドイツ国民は
ナチス政権を選択した.
10歳足らずの少女の視線からは
どのように映ったのか.
国外逃亡,
スイス,フランス,イギリスへと
父が仕事場を求めて転々とした.
言葉は通じない.服も買えない.
毎日の生活も苦しくなる.
それでも明るく振る舞う家族.
そんな日々を綴った作品だ.

1933年.ナチス連立政権が
樹立された.その前日,
ナチスからの弾圧を逃れて
ベルリンに住むユダヤ人で
反ナチ活動家ケンパー家は
スイスへ亡命する.
幼い少女アンナは,
住み慣れた家を離れる際
「持ち物は一つだけ」と
母に告げられ,大好きな
“ピンクのうさぎのぬいぐるみ”を
置いていくことにした.
つまりヒトラーが台頭することで,
大好きな「うさぎ」のぬいぐるみを
手放さなければならなかった…
というわけだ.

戦争,民族差別,理不尽さ.
父は仕事が見つからない,
おしまいにはその日の食事,
住まいもままならない状況.
言葉の壁で挨拶も
風習も分からずに
周囲からの冷めた目線,
笑いものになる始末だ.

せっかく慣れたかと思ったら
また一からやり直し.
学校も友達も,
そんな苦難の中でも,
この兄妹,
そして両親は生き続ける.

ナチスによる惨劇といえば
「異端の鳥」悲惨そして残酷.

本作品は,そんな悲惨や残酷
としたタッチではなく,
むしろ困難にも
前向きな生き方をする.

スイスへは命を求めて,
そして次のフランスは
衣食住のための最低限の
職を求めて.
イギリスへは,
ようやく父の仕事として
地位を求めての移動だ.

移動する都度,そこでの友だち,
建物,自然に対してきちんと
「さようなら」
「ありがとう」と
別れを告げるアンナの
健気な姿勢に心打たれる.

どんなに過酷でも,
悲惨でも,メゲない姿に
涙と感動を貰う.

自分を底置きする,
あの歳でそれができる.
そして両親は彼女の才能を
知っている.だからこそ,
極悪の中にあっても
その芽を育もうとしている.
まさに貧しくとも幸せ.
高貴な心を持っている.
「一隅を照らす」
そんな魂に
触れた感覚の作品です.

ひょっとして,
今もこの状況と同じ人が
世界中に溢れているのかも
しれません.
ナチスに追われる一家は一見,
昔のようなことに見えるが,
実は今も存在している.

移民や難民の存在.

根は深いと感じた.
裕福なユダヤ人でさえ,
この有り様では,
本当に底辺にいる人たちの
現実は周囲の人から見れば
「異端の鳥」の存在
かもしれません.
教養など身につけられる
状況では無い人たちが
居たんだろう.
本作品には
そんなダークな部分の
描き方は無いので,
逆に反感を覚える人も
いるかもしれません.
それでも,
心だけでも,
そんな心でいたいものだ.

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投稿者プロフィール

天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」
ブログでは日々の気づきを中心に書いている。
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