オススメ度:★★★★☆☆(3.8)
理由:全体的に「赦し」そして神秘的な存在.
どちらも宗教的匂いがする.
目に見えない不思議な力.神のみぞ知る世界観.
それ自体悪いわけではないが,
移民の国ならでは絶賛される
のかもしれません.そんな印象を受けた作品だ.
本作品はアカデミー賞で6部門に
ノミネートされた作品.
それだけに「パラサイト」同様に
もの凄く期待して見に行ったが,
ちょっと正直に言えば,
期待が高かっただけに
ちょっとだけ残念ではありました.
ごく一般的な移民の家族の
苦労が描かれているようにも
見えた.
畑仕事を一切手伝わない妻.
あの感情的な妻の言動.
妻は自分のお婆ちゃん,
たしかに子どもには愛があるが,
夫は所詮他人ということが伝わる.
そして父親は父親で
子どもを自分の見方に引き込もうし,
母親の前で「この場所は楽しいと言え」
と強要する.
相手を思いやるどころか,自分中心.
子どものためと言いつつ,
子どもを盾に自分の幸せを
願っているに過ぎないようにも思える.
そんな状態で感情移入は
少なくともあまり無かった.
同じアジア系移民の作品であれば
昨年の「フェアウェル」(A24)の方が
よっぽど移入できたように思える.
本作は悪くはないが,
アカデミー賞と言われては
ちょっと物足りないだけだ.
せり(芹)は大地に根を張り,
2度目の旬の時期が
一番美味しいとされる.
だから恩送り,
親から子へ.
次の世代のために
必死に生きることから
名付けられたようだ.
1980年代のアメリカ.
移民の国アメリカで
「夢」求めて韓国から
移り住む一家.
夢と現実の狭間の中で,
いつかそのうち…,
辛抱すれば花が咲く日が
来ると信じる.
でも現実はそんなに
優しくない.
何かを掴むには,
今あるものを
捨てなければならない.
淡々と祖父母から
両親そして子へ.
その流れるような「人生」.
アメリカン・ドリームを
求める中での苦難,家族愛,
夫婦間の問題.子どもの成長…
盛りだくさんのことが
埋め込まれてはいるが,
もの凄く共感することがなかった.
描かれているのはわかるが,
魂が揺さぶられるような
号泣するような感動が少なかった.
右脳で考えてしまい.
左脳が喜ぶような
作品を求めている自分に気づく.
アーカンソーの人たちは,
みんな親切な人が多いのか?
80年代のアメリカであれば,
黄色人種に対しての差別も
多少はあったように思えるが.
そんな描き方はしていない.
ちょっとオシャレで
綺麗過ぎる気もした.
何やらキリスト教を崇拝する…,
広い荒野である大地を
いかに太らせるか.農業をする.
農園を作る一歩は,大地を耕す.
そして水やりだ.
水を大地に巻く.
そのためには,地下水を組み上げる,
いわゆる井戸水,
水脈を当てることから
始めなくてはいけない.
科学的に正しい.
でもそれだけではない.
「神」の存在があるのかも
しれない.人は見えるもの,
ついつい公式や公理を求めてしまう.
それは正解ではあるが,
非科学的なもの,
偶然とかご縁の世界.
「神」の領域も
生きていくうえでは
必要なのかもしれない.
そして生まれつき心臓に
持病を持つ子どもが
大地の恵みで治癒する様子.
現代医学では解明できない何か
神秘的なものがあるのかもしれない.
普段は気づかない.
でもアンテナを高くして
感受性を研ぎ澄ませれば
「神さまメッセージ」を
受け取ることが
できるのかもしれない.
「木火土金水」
神秘的ではある.
成功のメッセージは
あちらこちらに実は
落ちていて,
その神さまからの
メッセージに
気づくかどうかで,
その後の成功への
道のりが決まってくる.
悪い霊が
お婆ちゃんには見える.
そして同様に
あの白人にも見える.
白人はクリスチャンであり
朝鮮戦争体経験者でもある.
もの凄く共感する作品
ではないが,
唯一良い点を見い出せば,
非科学的なシャーマンの
ような世界.
一見無駄なように見えること,
例えば十字架を背負って歩くとか,
棒のようなものを
持って水脈を求める
羅針盤にするとか.
あながち迷信として,
バサ切りすることが
必ずしも良いとは限らない.
証明できないものは,
信じないのではなく,
それ自体正しいのか
正しくないのか
わからないだけに過ぎない.
まだまだ世界は不可思議だ.
#ミナリ
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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