実話を元にしただけに伝えたい思いが強過ぎて逆に受け手に伝わらない『名も無い日』

名も無い日

オススメ度:★★☆☆☆(2.4)
理由:今ひとつ登場人物の
人間関係がはっきりしない.
監督の想いは伝わるが,
受け手には全部を受け取る
ことができない.
伝え方,脚本か.
ツッコミどころ満載で粗い作り.
それでも永瀬正敏,オダギリジョーの
匠な演技は天下一品.素晴らしかった.

本作品の日比監督はカメラマンでもある.
その彼の半生の体験が元に
なっているという.
公式アカウントを
後から読んで分かったことだ.

予め,そう聴いていたら
見方も随分変わっただろう.
先にテロップに流してくれたら
良かったかもしれません.

長男の写真家を永瀬正敏演じる達也.
兄弟でやりたいことを
自由できるものも入れば,
そのお陰で,
たとえば両親の世話をする
ことになり,自由を奪われる
ものも居る.

人生は不公平だ.
いや不公平と思うと
どんどんマイナスの
スパイラルが陥るのか.

長男は夢を求めてマンハッタンで
カメラマン,残された家族は後任せ.
他方,
家族の一新の期待を背負った次男.
次男は優秀過ぎたのか,
それが結果として仇となった形だ.
一流大学,一流企業.それが外界の
圧力となり,やがては自ら崩壊して
いく.若くして亡くなった弟章人を
オダギリジョーが演じる.

弟は孤独死だった.
彼は何故死に至ったのか.
その衝撃な死に対して,
残されたものの心に残るものは
大きいだろう.
孤独.家族.親戚,友,ご近所,絆,

地元名古屋の人には
身近な映像が楽しめる.
ただし本作の名古屋弁には
今や死語となった話し方に
とても違和感があった.
違和感のない名古屋弁なら
親近感も湧くが,少し残念.

人に寄り添うことは
そんなに簡単なこと
ではない.
それをどのように表現すれば
良い作品になるのだろうか.
あの時こうすればよかった!
というのは遅い.
悔いのないように
一期一会でそのひと時を
大切に扱うこと.
その一言で助かったか
どうかは不明ではあるが,
今やれることをやるしかない.

叔母,祖母,弟,同級生,
それぞれの立場で背負った
人生の傷,その深さは
どうなのか,もっと知りたかった.
その深堀りが足りないと思う.

家族関係,親戚なのか知人なのか
同級生なのかご近所さんなのか,
ハッキリ設定がわからない,
人間関係がわからないと作品の
魅力も半減する.

一体,両親はどんな人だったのか?
今井美樹演ずる同級生も
一体どんな過去があったのか.
好きだった彼が亡くなったこと
だけはわかる.

さっかく壮絶な体験をしたのに,
その内容が
生かされていないと感じた.

それでも懸命に弟を救おうとした
気概だけは伝わった.
完全に鬱となった次男と
それを必至で救おうとする
長男の熱い想い.悔いても
悔いきれなかった
ことだけは感じ取れた.

投稿者プロフィール

天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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