難解で奥深い作品「ライトハウス」

ライトハウス1

オススメ度:★★★★☆(4・0)
理由:かなりの難関.予備知識として,
片目のカモメやプロメテウス,
人魚伝説をしっておいたほうがいい.
人は,閉ざされた世界では
どのように発狂していくのか.
後味のスッキリしない,
それでいて本作に共感もしない.
なんとも不可思議な作品だ.

これは分類ではホラー映画となっていた.
あの閉ざされた世界で精神が
崩壊していく様を描く.
果たしてそれは妄想なのか真実なのか.
本作の登場人物は最初から最後までこの2人.
そして,この2人の役者の演技は見事.

本作が実話をベース作られた点も
興味深い.1890年代のニューイングランド.
絶海の孤島.
そこには掘っ立て小屋と
灯台以外に建造物はない.
私のあなた…
それ以外はカモメしかい居ない
という灯台守の2人.

両名とも4週間滞在で,
次の交代要員に
バトンタッチのつもりが
嵐という悪天候で迎えの船が遅れ,
さらに灯台守を強いられる.

絶対君主のように振る舞う
ベテラン上司とその部下の若者.
なんとも言えない
この2人の関係が
まるでフロイトの
エディプッスコンプレックス想起させる.
まさに「父親殺し」

行き場のない,
はけ口のない所で
人は一体どうなっていくのか.
閉ざされた空間が
やがて潜在的世界へと
広がりを見せる.
それはまさに
精神世界,狂気の世界
なのかもしれない.
愛と憎しみは
表裏で一体なのだ.
紙一重の世界を垣間見た.

時が経つにつれて,
それは幻覚なのか
実際にあったことなのか.
それは狂気にも似ている.

最近のモノクロ作品といえば,
「異端の鳥」
モノクロにより一層
明暗がさらに強調される.
モノクロだからこそ
匂いや音が
より敏感になるのだろうか.
モノクロ独特の迫る息苦しさ.
辛抱,我慢の限界のその先に
見えるもの,

それは狂気と幻覚.

超常現象.精神への闘争は
やがて3次元の世界から
高次元の世界へと
いざなう.

自らを慰めるしかできない
男の性への欲求は
やがて人魚への妄想へと
変わる.

神の存在は黙示録,
プロメテウスを呼び起こす.
荒れ狂った嵐の中に見る光は
灯台の灯火.
まばゆい発光に
神の存在を見たのか.
やがて灯台の「火」を得た彼は
亡くなった水夫の魂でもある
カモメに肉体を
突かれ食われる.
まさにプロメテウスだ.
この「プロメテウス」は
ギリシア神話に登場する.
天界の火を盗んで人類に
与えた神である.
ザウスの怒りに触れた
プロメテウスはやがて,
生きながらにして
毎日肝臓をついばまれる
責めを追ったのだ.

人魚….
マーメイドはイングランド民話を
起源とするものらしい.
またセイレーンとなれば,
歌声で惹きつけ船を難破させるという
海の魔物でギリシア神話を起源としている.
一方,メロウはアイルランドに伝わる
人魚であり,
この人魚が出現すると
嵐が起こるとしている.

もの凄く創られている.
全く奥深い.

ライトハウス2

投稿者プロフィール

天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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