中村医師自ら一隅を照らすドキュメンタリー「荒野に希望の灯をともす」

中村先生

オススメ度:★★★★☆(3.8)
理由:「中村先生」のような方も
国葬に値するのではないか.
宗教も人種もない.命に向き合い,
ここまでパキスタン・アフガニスタンの
人々に貢献した人はいないと思う.
見終えて何とも言えない気持ちが
こみ上げてきた.
あのアフガニスタンの復興に力を
入れてきた脳神経内科の中村哲医師.

パキスタンやアフガニスタンでは長年,
ハンセン病を中心とする医療活動し,
2016年からは現地の住民が自分で
用水路を作れるよう,学校を準備し,
他方,住民の要望によりモスクや
マドラサを建設している.
そのパワーがどこから来るのか.
全くの素人が土木技術者顔負けの
河川事業をやっている.
重機を操作する中村先生の映像.

そんな素晴らしい人が何故,
銃弾で倒れなければならないのか.

余りにも理不尽だ.
2019年アフガニスタンで用水路建設に
邁進する中にあって武装勢力に
銃撃されたのだ.目には目を捨てよ!
とおっしゃった中村先生.
本当に素晴らしい先生.
本作はそんな中村先生の足跡を
追ったドキュメンタリー作品だ.

長年医療支援をされていた先生は,
2000年のアフガニスタンの
大干ばつを体験し,そこで多くの人々が
飢饉で亡くなった.これを機に先生は
医療で人を救うのも大事ではあるものの,
それ以上にインフラ整備が必要と痛感した.
そんな先生が行った次なる行動.
それは医療活動をする傍ら,
ヒマラヤから降り注ぐ大河から,
用水路を建設することだった.

ドキュメンタリー作品には,
先生の志,信念が映像を通じて
観客に伝わってくる.
普通なら社会の理不尽さに「仕方ない」と
諦めてしまうところ,
なんと先生は「不条理に一矢報いる」と
おっしゃっていた.
この不屈の根性は何処から
湧いてくるのだろうか.
頭に浮かんだのは「徹底」という言葉だ.
「徹底的にやってやる」ということだ.
薬よりも先に食料と水なんだ.
映し出される先生から
発せられる言葉には言霊を感じる.
魂が新鮮で力強い.
その言霊に触発されて
多くの仲間が中村先生を頼る.
ここまで自己実現を実践されている方を
失うことは,社会の損失に違いない.

先生があの大河に用水路を作る際,
江戸時代の灌漑手法に学び,
それを実践する愚直さ.
ここまで諦めずに徹底する人は
他に居ないと思う.愚直なまでの徹底さだ.
何と21年の重みは只事ではないのだ.
ここまで来ると,国籍も人種も宗教も
超えて,本当に社会貢献,
亡くなっていく人を救うために
命燃え尽きるまで健闘する姿.
その愚直なまでの生き方が
心を打つんだ.凄すぎる.
映画館で集中して見られて
本当に良かった.

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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