あれはいつの日だったのだろう。おそらく30年ほど前だったと思う。あの日も今日のように茹だるような日だった。
熱帯夜、ハイウェーを仲間と突っ走る。
当時は上高地までマイカーで乗り入れることができた。
現実からの逃避、幻想世界を北アルプスに求めた。皆若かった。
毎年、一週間ぐらい滞在し、槍、奥穂高、涸沢と駆け巡る。
テント・寝袋はじめ山道具を50リットルのパッカーに詰め込む。
もちろん最大の目当ては、一日山を歩き回りそして毎晩テントでくつろぎながら酒を煽ること。仲間と語ることだ。
仲間の悩みも様々である。仕事、恋愛、子ども、両親のこと。
下界では毎日の忙しさに流されて、真剣に話し合う時間がない。
人生を肴に酒を煽る。夜遅くまでランタンに仲間の顔を見ながら。
それにしても、なぜあの時、そんなつまらないことで悩んでいたのか、なぜそこまでこだわったのか。
夏山の山頂の景色、無数の星々、透き通るような空気、どれもが人を饒舌にしてくれる。
こうした場所で、「我は何者か」自分を見つめ直すこと。
普段絶対にやらない、そうした確認が、人間には必要な作業ではないだろうか。
まさに夏山は心を研ぎ澄ませ、心身ともにリフレッシュしてくれる。
投稿者プロフィール

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人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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