樹木希林遺作「命みじかし、恋せよ乙女」、目に見えない何かを感じる世界


「生きているんだから幸せにならないとねぇ」樹木希林さんの言葉が沁みる。
ありがとう樹木希林さん。伏見ミリオン座で映画「あん」も同時上映されているのが嬉しい。さすが映画ファンの気持ちがわかる映画館だ。
おすすめ度:★★★☆☆
理由:神秘的な、ヒーリングとか目に見えないものについて、興味のある人にはオススメ。
しっかり中身が理屈で説明できないものは、駄目と言う人には向かないかも…。

本作品は最初の展開はちょっと物足りない感じでしたが、
特に後半の、樹木希林さんが出演したあたりの残り30分ぐらいが見応えがあっていい。

命みじかし恋せよ乙女

本作品は、前半はドイツで展開され、後半は日本・茅ヶ崎で展開される。
樹木希林さんが出演するのは後半戦。そこがいい。旅館の女将さんとして登場するのだ。
亡くなった人たちの「霊」が帰ってくるというお盆。
日本の風習、日本の古来のしきたりとか、日本人がいや、東洋人が大切にしている一部をこの作品から垣間見た気もする。


亡くなった方に対する未練。もう一度会いたい、愛しい。だから会いたいと思う気持ち。
ずっと逢いたい、それを叶えれるのがお盆なんだよね。たぶん。

「お盆」には「お祭り」がつきもの。

「お神輿」が海に入っていく茅ヶ崎。
幽霊。妖怪。そんな雰囲気が醸し出される作品だ。霊というのは神秘的である。

亡くなった方を偲ぶ時間でもある。

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死後の世界といえば、昨年の「DESTINY鎌倉ものがたり」「今夜、ロマンス劇場で」も何やらあの世とこの世を繋がる作品だった。

神秘的だ。そして今年6月に観た「嵐電」と同様に摩訶不思議な作品だった。

「嵐電」同様に、シュールレアリズム的な作品だと思います。
だからこそ、この作品は評価が分かれるんだろうな。
つまらないと思うとつまらなくも見える。
神秘的な面から作品を見れば、楽しめると思います。
妖怪、死への誘い。三途の川の手招きなど、魑魅魍魎です。

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さて話を戻しますと、主人公のドイツ人のカールは、親子や夫婦、そして溺愛してくれた母に嫉妬した兄弟。父親へのコンプレックス。

アルコール中毒。そして自殺という問題。
あの世から手招きされたら、ついついそっちに行きたくもなるが、でも少しだけこの世でやり残したことを全うしたいと思ってしまう。
苦しいけど、生きていればなんとかなるかも知れない。
たとえ、不幸にして怪我をしたり、病気になったら五体満足でなくとも、生きているだけで大儲けなのだと思う。

大正時代作られたというゴンドラの唄。
「いのち短し 恋せよ乙女 あかき唇 あせぬ間に 熱き血潮の 冷えぬ間に 明日の月日は ないものを」という575のリズム。

短いからこと、後悔しないように我慢せずに、やりたいことを我慢しないという、当たり前のこと。
それが大事なんだと、あらためて感じた。

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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