光と影、陰と陽、人の心、一対一の戦いこれぞ映画らしい映画「SHADOW/影武者」

影

映画の醍醐味は、もちろんアクションシーンも大事ではあるが、それだけではない。
人と人の気持ち、心の動き、感情をとても重視している。
魂を揺さぶるような感情や、共感なんだと思う。
それが、本当によく描かれている。

戦いのシーンも、中国の琴の音色に合わせて美しく描いている。
まるで水墨画のようなんだよね。
大胆な立ち回りでありながらも、とても「みやび」優雅でもある。
水墨画のような世界なのだ。
水墨画は明暗を濃淡のモノクロで示す。
すなわち、陰と陽。白と黒なのだ。
だから水墨画が似合うんだと納得。

そして何かと出てくる太極図のシンボル。
それがとても印象的である。
陰陽五行。
易経の考え方も随所に取り入れられておりとても面白い。
陰と陽。陽と陽では力が勝る方が勝つ。
だから相手が陽なら陰で戦うべき。
逆転満塁ホームランを狙うなら、
相手との協調というのも必要なんだ。
それを易経は教えてくれる。
晴れ=鉾=男=光=陽であれば、
陰とは雨=盾(傘)=女=影=陰ということになる。
そういう感覚なんだ。
硬さにはしなやかさで対抗する。それも陽と陰の関係なのだ。

オススメ度:★★★☆☆
理由:映像の美しさ。コントラスト、そして人間模様。
アクション好きな方にも是非オススメでです。
本作品は特にデジタル技術にあまり頼ることなく、
なんとフィルムに刻み込むという昔ながらの職人技。
それだけに迫力が半端ないです。
そして、人間関係、影と表舞台との気持ち、野心など
人の気持ちの部分に踏み込んで確認することができるのだ。

中国大陸、戦国時代、フィクションだから架空の国なんですが、
とても設定が面白い。
それもそのはず、この作品は「三国志演技」の「荊州争奪戦」を
脚本していますから。
そういう点では前回観た秦の始皇帝「キングタム」のような作品でもあります。

沛国という国が炎国に領土の一部を奪われて20年。
沛国の皇帝は、敵国と同盟を結んで和平合意を進めていく。
一方、武闘派は、軍師の都督をはじめ、奪還に燃えている。
そんな中、敵の将軍、楊蒼に向け、都督は果たし状を突きつけるのだ。
ところが、果たし状を突きつけた彼は影武者。
実際に戦っていたのは影武者なのだ。

影武者の方は影武者で、
敵に勝てば自由を与えられる。そして幼い頃から訓練を受けている。
母に逢いたいから自由になりたい。
そこから先は…。ネタバレになるのでこのへんで。

この作品の監督は、中国でも有名な映画監督、張芸謀(チャン・イーモウ)。
文化大革命を題材した作品として1994年の『活きる』はじめ3作品を制作している。
また南京事件を描いた『金陵十三釵』も有名。残念ながら日本では未公開。(でもYou tubeで字幕は英語ではあるものの観られる

この作品の主人公は影なのである。