何とも後味の悪い作品「タロウのバカ」から見えるもの

タロウのバカ(1)

女子高生コンクリート詰め殺人事件は昭和時代の終わりに発生した残忍な事件だ。
足立区綾瀬の名を残念な意味で有名した事件。
女子高生が不良少年グループに拉致されて一ヶ月以上も暴行・強姦を受け続け、最後には
集団リンチで死亡させて、遺体をコンクリート詰めた極悪非道な事件である。
思い出すだけで、やり切れない気持ちで一杯になる。

オススメ度:★☆☆☆☆
理由:とにかく後味が悪すぎる。足立区綾瀬の事件を思い出してしまうのは、
私だけなのだろうか?
マイナスをえぐるといった映画が好きな方には、オススメです。
過去に「ビジランテ」村上春樹原作の「バーニング」などが好きな方は、
お試しするのも良いかも知れませんね。

足立区といえば、あのおぞましい女子高生コンクリート詰め殺人事件。
金属棒、金属バット。
何やら本来の使い方をしない方法をあえて作品とするところに引っかかるんだよね。


菅田将暉、あの「アルキメデスの大戦」とは全く違った役づくりで
初めは誰か分かりませんでした。
「最低」という作品以上に、この作品が最低の作品に見えたのだ。
「どん底」とか、人を殺すことも含めての「自由」とか、希望や絶望…

タロウのバカ(2)
タロウバカ(3)

名無しの権兵衛のことを、じゃー「タロウ」ね。と言われるタロウ。
戸籍も無い、義務教育ですら一度も通ったことがない。
誰が悪いのか、社会なのか、家庭なのか。
まるで獣、子ども、そこから少しずつ芽生えてくる理性とか感情とかいうもの。
その意味を考えさせられる。人はどうやって倫理や道徳観を身に着けていくのか。

さまざまなエピソード継ぎ接ぎとしたような印象を受ける。
全編を通じて話がぶつ切りを続けた感じです。

悶々としたこの脱力感。そしてなんか、はっきりしない内容。
それは何だろうか。ダウン症の方の出演、
そして重度障がい者の方々の出演にいみがあるのだろうか。
そして女子高生の存在、援助交際の背景とか人間関係とかも不明だ。
意味不明で不可解。それは多分、私の読解力不足なのか?
言葉が言霊だと言われるが、まさにこの作品の言葉は、真逆。
マイナスの言葉のオンパレード。
作為的ではあるが、作品としては嫌悪感が残る。
それは普通の感覚なのか。
自分の感覚を確認するのにうってつけの作品なのかも知れません。

どん底を分析するとさまざまに分類されるんだろうと思う。
必ずしも作者の意図とは合わないまでも、
障がい者、ヤクザ、子育てを放棄した親、挫折…。
どうしたら、これらをわかりやすく表現できるんだろうか。
リアルな現実を映画という映像を通じて表現するには、
もう少し工夫が必要なのではなかろうか。
大声を出すことも少なくなったが、出したい気持ちは解る。
そうした大声を出したい気持ちを別の表現でできたら、
もっと面白い作品になったと思う。

社会の負の部分。その世界をどのように表現するかだ。
普段は口にしない、また、あえて見ようともしない画像を
ここまで無理して見る意味が果たしてあるのか。
そう思いながら後半30分がどう仕上がるか。
映画もやはり野球と同じで7回の裏後半戦が面白い。
途中で映画館を出たくなる感覚だっった。

そして、こうした犯罪に対して普通なら治安維持国家であれば、
警察の通報とか、そのままでは済まされない状態なのだが…
本作品ではますでない。
その部分は完全にスルーされていて、余りにも非現実的な部分が気になる。

普通なら警察沙汰、警戒されるとは思うけど、無関心なんだよね。
無関心というか無視…。
それっていうのは、死んでるのと一緒。作品として偏っているかなとも思う。