人は一度好きになってしまった人を忘れることはできない…「窮鼠はチーズの夢を見る」

窮鼠1

オススメ度:★★★★☆(4.1)
理由:恋愛観.本当に恋愛は自由なのだ.
禁断もない世界.それでも周囲の視線も気になる.
「あるがまま」と「ありのまま」.
何の条件も考えず…というのは,本当に困難を伴う.
それでも人を好きになる.限られた生ある時間の中で,
やはり自分に素直に生きていくことが一番大事だ.
そう思える大人の作品だ.良かった.

自然に共感できてしまう行方監督作品.
行方監督の「劇場」も素晴らしかったが,
本作品も素晴らしい.
「劇場」での行方監督のトーク
ますますファンになった.

本作品は,水城せとなの漫画作品の映画化.
大倉忠義演ずるサラリーマンの大伴恭一の
気持ちが痛いほどよくわかる.
あの優柔不断さ.中庸さ.
心の調和とかバランス….すごくわかる.

本作品は2008年に中村悠一主演で
ドラマCD化されたようです.

あまりにも濃密.
昔なら,いけないことと一蹴されていた恋愛観だ.
あの哀愁漂う優しい眼差し.
暴力的でないところが美しい.
そして寂しい,虚しい.
もちろん,胸が痛む.
互いの胸の内がわかるから尚更だ.
ほろ苦いというのは通り越している.
苦しい.そして,切ない.
人を好きになるのに前提はない,条件もない.
いけないことなんて存在しない.
恋愛とは実は自由でありながら,不自由で,
倫理とか偏見,
世間体が邪魔することがあるかもしれない.
同性も異性も年上も年下も既婚も未婚も…
自由にはならないのだろうか.
純粋に素直になれば,
この作品のような恋愛もあるのだろう.
偏見のない世界が訪れるといい.

どうすることもできない現実.
嫌いになりきれない二人.
冷静に現実を直視してもなお,
別の感情は湧いてくる.

その微妙な心の動きが見事に
表現されている.

好きになりすぎると自分の殻が
形を保てなくて壊れていく感覚だ.

一緒にいると本当は苦しい,
決して楽しいことばかりではない.

それは「試されている」のかもしれない.

自分の気持ちに正直になれば,
心は揺れ動くものだ.
人はそれをフラフラしていると
決めつける傾向にあるけど,
決してそうではないように思える.

傍にいるだけで幸せな感覚.
人を想うことは素敵だな…と.
素のままでいくとの素晴らしさ.
好きになったら,感情のまま,
その流れのまま,自然に振る舞うことが
どれほど大切なのかがわかる.
告白しないは勿体ない.
生ある時間,その感情もほんの一瞬の出来事だ.
後悔しないようにしたいものだ.
そんな風にあらためて認識させる作品でした.

窮鼠2
窮鼠3

投稿者プロフィール

天雨 徹
天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」
ブログでは日々の気づきを中心に書いている。
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