少し表面的ではあるが気持ちは描かれている「10万分の1」

10万分の1

オススメ度:★★★☆☆(3.4)
理由:祖父役の奥田瑛二は
かっこいい.
少なくともこの作品で,
彼と彼女の人気からでも,
動機は何であれ,
「難病という困難が降りかかっても,
それでも,以前と変わらず,
前へ進もうとすること」
それは理想でもあるが,
是非とも貫いて欲しいと願っている.
悪人が誰一人描かれていない世界.
そしてポジティブシンキング.
それもいい.
魂の学びには,なります.

10万分の1と言うのは,
ALSと言う難病
「筋萎縮性側索硬化症」を示すが,
作品の内容が浅く,表面的,
もう少し深いところまでの
感情移入がほしいところ.
確かに泣ける場面はあるものの,
こんなものではないはずだ.

でも,「当たり前のことは幸せなこと」
というのが,
わかりやすく作られていた.

彼女は高校生,これから青春を
謳歌したい最中にこの難病.
特に難病を受容する彼女の気持ち.
ALSという難病を受け入れた彼女.
彼女が書き込んだバケットリスト.
彼とデートする,
美味しいものをいっぱい食べる.
など…
そして最後に
その彼と「別れる」…
この最後のリスト.
好きだけど,
最終的には別れるだろうな…
という気持ち,
いずれそうなると
理解しているが,
それまでも受け入れられる
のは凄い.

ちょっと臭いシナリオでは
あるが,気持ちは十分わかる.

また,彼女を助けるために
彼が将来を目指すものとは….
それも何となく想定どおりであり,
少し定番になるのは,
少女漫画原作映画だけに,
それも恋愛コミック…
シリアルでないのは仕方ない.

彼女のALSの進行し状況が
醜く描かれていない点は,
少女漫画らしいと言えば
らしい.

ただ,進行した患者が,
対人との意思疎通のツールとして
欠かせない「音声読み上げソフト」を
見せる場面や排泄の問題など,
多少入り込んではいたものの,
まだまだ表面的で浅い.

難病を取り巻く環境は,
本人とその家族だけではなく,
「こんな夜更けにバナナなよ 愛しき実話」でも
そうだが,医療,介護,
ボランティアなど多くの人たちに
よって支えられている.
その描き方は一般論で
まとまっている.

今後,ALSはじめ
パーキンソンなどの難病や,
(重度)身障など,
原因がわからない病気の解明
とその治療が
今後つながることを
期待するばかりです.

難病や身がい者の学生に
用意された高校での
多目的トイレなどの設置.
健常者だけではなく
開かれた社会,
SDGsを目指すには,
そうした作品も内容は
ともかく,
多く取り扱って
いただきたい気もします.

ホーキンス博士
とまではいかないまでも
学びたい人に
その門を閉ざさないことは,
受け入れ口は必要で,
その意味で
「あなたは身体が不自由だから
勉強しなくていい」
的な就学免除の社会になって
欲しくにないと願っています.

本当の試練は,これからで,
むしろ感動するのは
高校を卒業した以降,
彼女をはじめ周囲の人たちか,
どのような体験を
しながら魂の成長して
いくかだろう.

症状が悪化し,
非常に描いても
美しくない部分にも
フォーカスしてほしい
といった意見もあろうが,
しかしそれでは,
生々しすぎる「異端の鳥」
ような描写となり,
邦画ではまだそこまでの作品は
許容できていないかもしれません.

ただ主演の男女が平祐奈と白濱亜嵐
人気の役者であることから,
「難病を美化している」と
誤解されない点もあり,
その意味で,見方によれば,
ちょっと危険な作品かもしれません.

ちょっとわざとらしい
難病の彼女の頑張りが,
作品として浅い感じが
するところもあるものの,
社会の理解を得られる
一歩となれば良いかと感じた.

投稿者プロフィール

天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」
ブログでは日々の気づきを中心に書いている。
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