松坂桃李と仲野太賀の好演が光る,誰にもある懐かしい「あの頃。」

オススメ度:★★★☆☆(3.0)
理由:エンタメ作品の中にも,
ちょっぴりほろ苦い仕上がり.
役者,松坂桃李と仲野太賀は見事.
少しシリアスな心の動きなどの
突っ込みがあったらもっと良かった.
ちょっと物足りなさも残るが,
でも私に目を閉じてじっくり
振り返る時間を与えてくれた
作品でもある.

劔樹人によるエッセイが原作.
実話を基にした作品.
大阪ミナミ阿倍野での何気ない
生活の日々.
松浦あややはじめアイドルグループに
夢中になっていた「あの頃」を
描いたもの.
大切な悪友である仲間が
若くして壮絶な死を遂げる,
いや格好いい死に方をする.
懐かしいあの頃.
あの頃があるから今がある.
人の成長の過程を
本作品を通じてみることができる

自分にとっての
「あの頃」の思い出.
振り返ることも必要かもしれない.

ふとしたキッカケで
どん底から救われることがある.
こんなことで救われるのかと
傍から見ると思えるけど,
でも,その人にとっては事実だ.

一見してくだらない時間,
そのバカバカしい時間は,
人生のスープであり,
スパイスでもあり,
今を作り上げる大事な
要素でもある.
それが振り返ると
とても愛らしい.

主演の松坂桃李.
松坂桃季といえば『新聞記者』のイメージ.
それが今回はハロプロオタク….
さすが役者だ.
何ともゆる~いキャラクターに大変身..
三枚目.彼女もお金も楽しいことなど
なくて,何となく過ごしている日常.

そんな日常にあることが
キッカケになる.
涙あり笑いあり.これって青春だと
言えるなんとも懐かしい感覚.
ひょんな偶然からオタク仲間に.
アイドルに何とも癒やされる.
ハロプロにハマる意味がわかる
気もする.特に「桃色片想い」に
ハマるシーンが面白い.
当時が懐かしい.
もう10年?いや20年ほど
前にもなるのかな?
サピア色の懐かしさ.
あやや.モー娘.

地元愛知出身の山崎夢羽が
演ずる松浦亜弥.見た目は
その衣装からホンモノ?とも.
ちょっと演技にぎこちなさも
あって,それもまたアイドルらしい.
特にあややのファン
というわけではないが,
なんとも懐かくほっこりする.

今泉力哉監督の前作『愛がなんだ』
シリアスな恋愛作品とは,
また違った作品で,
ちょっと物足りなさもあったが,
やはり抑えるところは
しっかりあるのも監督の作品らしい.

共通の趣味を通じた仲間.
そんな仲間がいて今がある.
あの一見無駄なような時間こそが,
貴重な時間が
今の自分を形成している.
創っているのだ.

何かに一緒になって仲間と
熱中し馬鹿をする.
そんな仲間.
やっぱり一人ぼっちは寂しい.

何とも「ほっこり」する作品.
そんな中でも
コズミン役の仲野太賀の演技が光る.
少しネタバレにはなるが
劇中で土下座するシーンが
2度ほどある.
「すみましぇーんでした!!」が光る.
笑える.いや笑えない.
やられた方は笑えないかもしれない.Lol
あの自己中の考え方に
腹立たしさ覚えたが,
次第にその彼の良さが沁みてくる.
「過去を振り返らず前を観て今を生きる」
というが,確かに「生きている今」も
大事ではあるが「過去」があるから
こそでもある.
取り返すことができない過去.
懐かしい過去.痛々しい過去.
そんな過去を
振り返ってみようと
思える作品だ.今を生きるために.

投稿者プロフィール

天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。名古屋工業大学客員准教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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