オススメ度:★★★★☆(4.0)
理由:派手なアクションもない.
じわじわと効いてくる.
良かった,本当に良かった…
と拍手を送れるような,
そんな作品に仕上がってる.
韓国映画は
人の心に響く作品が多い.
最近では
「パラサイト」
「はちどり」
「キム・ジヨン」
どれも素晴らしい作品だった.
制作費ではない.
作品の中身が凄い.
韓国映画のレベルは
高いと思う.
さすがに規約が
改定されたとはいえ
それでも女性が
プロ野球選手になるのは難しい.
そんな中にあって,
イ・ジュヨンが演ずる野球少女スイン.
実在する女性プロ野球選手を
モデルにしている作品らしい.
イ・ジュヨンといえば,
Netflixの『梨泰院クラス』.
ヒョニ役でトランスジェンダーの
レストラン厨房で働く姿が重なる.
タイトルからド根性ものの
「巨人の星」のような
根性さえあれば乗り越えられる的な
作品かと思いしや,
いい意味で
全く予想を裏切られた.
いくら最高球速134kmの
球を投げて天才野球少女と
呼ばれていても,
体力的にもそうだろうが,
それ以前に女性であるだけで
プロ野球選手になることは
難しい社会に腹が立つ.
いわば社会差別だ.
ジェンダーという社会の壁が
立ちふさがる.
プロテストのトライアウトは
男女も年齢も無関係で誰も
が受けられる制度のはずだ.
ところが「女子」ということだけで
受かられないのが現実.
そんな現実に逆らわず,
我慢する・辛抱して
現実を直視して進め
という母親.
母親からも友だちも
野球部の監督も
口を揃えて反対される.
さすがに
母親にあれだけ
ネガティブなことを
毎日のように言われ続けると凹む.
たとえ自分のことを
ポジティブに信じていても,
ダークな自分が顔を出すものだ.
夢は所詮幻なのか,それとも叶うのか.
本来は,
未来は誰にもわからない筈だ.
たとえその確率,勝算は
僅かでも絶対0ではない.
0%ではないのだ.
確かに彼女の言う通り,
「未来は本人でもわからないのに,
他人に自分の未来がわかるわけがない.」
でも現実は厳しく
希望はほんの僅かだ.
それでも諦めない…
という澄んだ心.
その素直な心に
神(この場合は女神か)を
見たような気持ちになった.
ジェンダーという壁.
蔑視される社会の壁は
おそらく日本よりも
一層韓国の方が
強いのではないか.
そんな困難な中で
努力を続けるスイン.
でも
その努力もやり方を
間違って必死にするのは無駄.
それでも
その努力に報いようと
応援してくれる人,
協力してくれる人が
必ず現れる.
それは一見偶然のように見えて
実は必然的に起こるのではないか.
それを人は「たまたま」という.
「夢をあきらめない」と
手を差し出してくれる人が
いるのかもしれない.
長所を伸ばす.
自分の長所は
実は自分ではわからない
こともあるかもしれない.
メンターがやはり必要
なのかもしれない.
ひとりぼっちは寂しい.
人はやはり一人ではなくて,
陰ながら応援してくれる
父親だったり,友だちだったり,
広くは
たとえ反対していた
周囲の人でも,
応援をもらえる
かもしれないのだ.
周囲に感謝しながら
努力を重ねる.
その大切さが
わかる…いい作品だ.
投稿者プロフィール
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人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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