ミニシアターでようやく鑑賞「リスペクト」

リスペクト

オススメ度:★★★☆☆(3.4)
理由:「ソウルの女王」と
呼ばれたアレサ・フランクリン.
彼女の半生を描いた伝記映画.
人生全てを作品に描き出すには難しい.
その一部に焦点を当てて,脚本して,
描ききった方がいいように見えた.

10代での予期せぬ出産,
夫からのDV,アルコール依存症
厳格な牧師だった父親,
そして暗殺された
キング牧師との交流.
60年代の公民権運動や
女性解放運動.
あの時間に収めるには,
余りにもエピソードが多すぎる.

幼少期から復活劇までの
全てを描くのではなく,
エルトン・ジョンの
『ロケットマン』
のような,
事実に基づきながらも,
焦点を絞った描き方をしても
良かったのではないかと想う.

人との絆とか
彼女の不屈の根性に力点を
入れて脚色しても
良かったようにも見えた.

アメリカの歌手
アレサ・フランクリンの人生.
「ソウルの女王」を
ジェニファー・ハドソンが
演じる.アレサは一見成功で
順風満帆のように見える人生も,
その私生活は必ずしもそうではない.

それでも,
ジュディ・ガーランド
マリア・カラス
ホイットニーしかり,
マコーレー・カルキン君…
人と比べられるようなものでは
ないかも知れないが,
それでも彼女,彼らよりは,
いい人生だったかもしれない.

本作品はアレサ自身が
ジェニファーに自分を
「是非演じて欲しい」と
嘆願したようである.
しかし,彼女自身は,
それを生前に観ることなく,
この世を去った…

彼女の生き方は,まさに
易経の「乾為天」のような生き方.
「乾為天」とは龍の物語.
潜龍,見龍,乾惕,躍龍,
飛龍,亢龍へと成長していく.
苦労して,ようやく勝ち取った栄光.
大いなる力を得たアレサが
自分を次第に見失っていく過程.
それに気づいて復活していく
過程が泣けたのだ.

諦めない.続けることだ.
あの大スターで
「ソウルの女王」として
君臨を得た歌声の持ち主でさえも,
最初は売れなかったのだ.
何をやっても売れない.
流石に5年間も売れなければ
途中で投げ出したくもなるはずだ.
それでも諦めない.
続ける.売れなくても続ける….
でも同じことをやっていても売れない.
人から薦められたお膳立てでは
5年経ても売れなかったのだ.
レコード会社を変えて,
自分の好きな事を
少し取り入れた時,
初めて大ヒットを当てたアレサ.

人は持って生まれた
「才能」をどう活かすか.
それは周囲の「環境」もあろう.
しかし彼女の場合,
一見良さそうな環境は,
レイプ,虐待など,
必ずしも恵まれた環境でも
なさそうだ.

そこには本人の
モチベーションの維持,
売れなくても諦めない,
そして考えに考え抜く,
心の持ち方が大事なようだ.

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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