「戦争と人間 第二部 愛と悲しみの山河」観ました

二部

名演小劇場で先週の五味川純平の原作「戦争と人間」第一部 運命の序曲に引き続き、第二部 愛と悲しみの山河を観ました。第二部では、満州国の傀儡政権を樹立した日本。軍部の慢心を許してしまった当時の風潮。人間関係も面白い。特に色恋沙汰ですね。北大路欣也と佐久間良子、山本圭と吉永小百合。お似合いです、でも、双方とも実らない恋で、内容は切ない。北大路欣也演じる五代財閥の御曹司の伍代俊介と人妻役の佐久間良子。そして、左翼的思想の山本圭が演ずる標耕平と吉永小百合演ずる伍代順子。社会的立場の格差と恋愛は別なんだと、改めて感じた次第。

プロレタリアート、社会主義的な思想への弾圧。済南事件、通州虐殺事件はじめ邦人の虐殺。デマやデッチ上げ、戦争の口実を作るために、相手がやったかのように仕掛けるとか、あるは本当にあったのか。相手の仕業にして、それを口実に戦争を仕掛ける構図は今も昔も変わらないかも知れません。自衛とか防衛とかいう口実で、侵略をしていくことはあったかも知れません。

国内では、1931年の2.26事件。暴力テロにより、政治が軍部に渡っていった。陸軍で皇道派と統制派が争っていた。皇道派はモノより精神を重んじ、ソ連への攻撃を主張。一方統制派は、中央集権化により技術の近代化・機械化を進めて中国への拡大を主張。結局、皇道派青年将校によるクーデターが発生。所謂テロである。国民に、貧しい農村の家族では身売りなどもあった。小作農たちは、だから屯田兵として満州国へ移民して苦しい生活から抜け出したいと思う。この屯田兵開拓団については発足当時は高橋是清はじめ反対が強かったが、この2.26事件で高橋是清蔵相も暗殺され、反対論も弱まり、侵略に拍車がかかった形になる。開拓といっても実際には漢人や朝鮮人の耕作していた既耕地を買収した農地でありで、追い出した形になっていた。そのことについても、第二部の作品の中で一部描かれていた。
そして1937年の盧溝橋事件で日中戦争へと拡大していく。

ポスター

第二部では、浅丘ルリ子演ずる伍代由紀子の恋人役の高橋英樹演ずる柘植進太郎大尉。彼が満州で特務機関として731部隊の施設に訪れる場面があった。石井四郎中将も登場している。
731部隊は、1940年に創設した関軍防疫給水部本部で、兵士の感染症予防、給水体制の研究の、細菌戦に使用する生物兵器の研究・開発もされていたという。若い頃に森村誠一の「悪魔の飽食」を読んだことを思い出しました。目を覆いたくなる描写がよぎりました。あの人体実験、正気の沙汰とは思えない。たしかに信憑性を疑う説もあります。またソ連軍の満州への侵攻直後に証拠隠滅のために爆破されたという説もあり、ますます事実は闇の中ではありまますが、ある程度は事実だと私は思います。中国大陸における日本軍の蛮行。確かに、伍代俊介や標耕平等も存在し、すべての人がそうではないかも知れないが、戦争状態という異常な環境は大半の人を狂気に陥れる。★★★★★

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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