あの恩田陸の作品が映像に。「蜜蜂と遠雷」が、まさか映画化されるとは…。

蜜蜂と遠雷

極めている人達は、互いがライバルではあるものの、
それでいて仲間なんだ。美しい。
単に互いに助け合い、励まし合うといったレベルではない。
彼らは深く互いに繋がっているのだ。
それは半端ないからだ。相手を思いやる気持ち。
一流は同じ目的を極める者同士である。
ライバルでありながら、本当に良き仲間なんだ。

この作品は、どう考えてもわずか2時間の映画には収まりきれない内容だ。
相当脚本しても無理だと思う。感銘を受けたあの本が、まさか映画化とは…。
ちょっと残念な気持ち、はじめはそんな気持ちだった。

音楽コンクールを予選から本戦までを
巧みな文章表現で長編小説とした作品だ。
超大作である。それを映画にするのはやっぱり無謀ではないか。
あの蜜蜂王子の風間塵、
英伝亜夜の先生であり母親であった人の死。
その母の死が非常なトラウマとなり、
本番を前にして手が震える英伝亜夜。
そんな彼女を演ずるのが松岡茉優だ。
そして幼馴染のマサル、楽器店されリーマンの高島明石。
それぞれ個性のあるピアニストの面々たち。

オススメ度:★★★☆☆
理由:本作品のように、何かをストイックまでに極めた人なら
共感するかも知れません。
ピアニストのあの蜜蜂のように小刻み動く指、身体。
そしてその音は、遠くの鳴り響く雷のように。
自然が音楽と一体となって聞こえてくる。
音楽を極めようとした人には、その感覚が解るかも知れません。

彼らが予選からステージが上がるたびに様々な葛藤をしながら成長していく。
特に英伝亜矢の成長振りには眼を見張るものがある。

確かに想定通り前半は、やっぱり…映画化は難しいんだよな。と。
ところが後半は、良かった。思わず泪も溢れた。特に栄伝亜夜の進化だ。

ピアニスト…極めるって、やっぱり凄い。
天才。天才となる才能とは一体何なのか。

作者の恩田さんは、様々なコンテストの場に遭遇して、
次のような結論を見出している。
「一つのものをやり続けて、鈍感さとしぶとさを持った人」
そういう人を天才・才能を持った人というのだ。

楽器。楽器とは自分を表現するひとつの武器でもある。
ピアノもそういう意味ではもちろん武器。
ピアノって、やっぱりいい。
松岡茉優がこんなにも演技がうまいとは思ってもいなかった。
そうなんだ。
特に栄伝亜夜のピアニストとしての人生なんだ。
映像でもうまく描かれてる。雨の調べ。
雫が当たるたびに様々な音を出す。
それを音楽で、ピアノで表現すると絵になって現れるのだ。

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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