実に真面目にそして不真面目、マジンガーZの格納庫をつくるというプロジェクト「前田建設ファンタジー営業部」

前田1

これは面白い。実話を元にしているだけに受けるなあこれ。
これぞエンタメ中のエンタメ・コメディ作品である。
静岡県の長島ダムをはじめ数々の社会インフラの構造物に
携わってきた「前田建設」
その建設会社が、何を血迷ったか、いや、
こんなに面白い企画を考えたのだ。
「マジンガーZ」ロボットの模型を作るのではなくて、
その格納庫をあの地下の、そう、あのプールが割れて
マジンガーZが出てくるアレである。

オススメ度:★★★☆☆
理由:泣けるほど、必死になることも必要だ。
安心して笑いながらも、それでいて技術屋の醍醐味が味わえる作品。
とにかく面白い。これは是非観たほうがいい邦画である。

実際に作ったらどの程度になるか?
設計から実工期、見積もりまでを、
しかも真面目に検証していくからこそ、面白いし、しかも感動する。
あの営業部門は一体なんなのか。
その名もWEBコンテンツ「前田建設ファンタジー営業部」
実話を元にした作品でちょうど2003年といえば、
バブル崩壊後で日本はどん底。そんな建設業界。
そんな中にあってなんと面白い企画なんだろうか。
よく、こんな内容を上層部が許したのか、
いや逆にそんな会社だからこそ、愛着も湧くというものだ。

あの永井豪のアニメ「マジンガーZ」という
架空のものに対し、いかに真剣に向き合って設計していくかが味噌。

そんなトンデモナイ企画で、
社員達が振り回される姿も共感できて面白い。
とても笑える。冷めている者、熱弁する者。
それでも携わっていくうちに、どんどんマジンガーZに愛着と
そして技術屋さんの仕事に対する下向きな情熱に惹かれていく。
トンデモナイ設計に挑む姿。それは美しい。
笑いの中にあって本当に共感・感動しました。

テンポ良く、お笑い、エンタメとしての面白さ満喫。
夢がいっぱい詰まった真面目で不真面目の作品はいい。

夢というか無謀というか、それに向かうプロジェクトチームの姿。
冷めたところから、だんだんと、観客のこちらまで熱くなっていく。。
活気を取り戻していく面々。

この空想実現が、今の流行りのクリエイターでもなければ
アーティストでもない。根っから真面目な技術集団。
社内だけではなく、社外にも協力を仰いだ。
そしてその協力に応えた日立造船、栗本鐵工所、前田製作所…。
その一致団結もいい。
後は、技術オタク特有の口下手、専門用語爆発、加えて早口解説が面白い。
「お~、わかる、わかる」って感じで、とっても共感してしまう。

こんなバカバカしい企画。それに本気になる面々の顔がいい。
その表情に救われる。ものづくりには発想と情熱が必要なんだ。

俳優陣では、
あの『見えない目撃者』の高杉真宙、
そして技術の話となると、相手が夢中に語れば語るほど
宇宙の彼方に逝ってしまう女性社員を演じた
NHK朝ドラ「まんぷく」のタカちゃん役だった
『愛がなんだ』の岸井ゆきの。
この二人に加えて、お笑い芸人の面々。
それぞれのキャラが濃すぎて笑えます。

やっぱり実話を題材にした作品は、
その裏付けがしっかりしているだけに安定感がある。

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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