ウェス・アンダーソン監督の「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊

オススメ度:★★☆☆☆(2.4)
理由:正直,テンポの速さに
ツイていけなかった.素晴らしい
内容の作品だということは監督が
監督だけに,わかる.でもツイて
いけなかった.たぶん実際に当時の
雑誌を購入した人には,その良さ.
本作の良さが理解できたのかも
しれない.活字文化を愉しむと
いうことが感じ得なかったことが
大きな原因であるようにも思う.

いや,作風の良さがわからない
だけなのかもしれないが.
「ニューヨーカー」誌と言われて
ピンとこない人に感じ取るのは
難しい.多分これは優れた芸術映画
なんだろう.アート作品とも
いえなくもない,とにかく
三次元でありながら,まるで絵画の
ような平面を感じる奥行感覚.

ガジェット満載で,手が込んでいる.

ウェス・アンダーソン監督の
10作目となるこの作品.
本作は事前知識があった方が
いいことは間違いない.それが無いと
何のことかわからないかもしれない.

多分,本作が共感できなかったのは,
恐らくは,事前に本作の内容を
予告でもいいから観ておくべき
だったのかもしれない.
仕入れていれば,もう少し
読めたかもしれないのだ.

本作の背景は,
雑誌編集で,20世紀のフランスの
架空の都市で発行された
アメリカの雑誌だ.
「フレンチ・ディスパッチ」
その最終号に掲載されたという
ストーリーをオムニバス形式で
描いているんだという.

創刊者で編集長の
アーサー・ハウイッツァー・Jr.
彼が急死し,彼の遺言どおりに
雑誌を廃刊することが決まった.

編集長への追悼として,
大きく4つのエピソードに分けて
オムニバス的に,そしてコミカルかつ
シュールに描いた作品だという.

オムニバスには「自転車レポート」
「確固たる名作」「宣言書の改定」
「警察署長の食事室」そして最後には
編集長の遺体が安置された
編集長室で追悼記事が書かれ,
編集部は解散となる.

タッチは,以前観た作品
犬ヶ島」の同じ作風であり,
同じ監督の作品であることはわかる.

しかし残念ながら本作には当時の
「犬ヶ島」のようなインパクトを
感じなかった.もちろん「犬ヶ島」の
世界感も架空の話ではあり,
それとどう違うのかと問われても,
回答に困る.ただ,その時は,
主役の犬の気持ちも,そこに居た他の
犬の気持ちもわかった気がした.

そんな中で,かろうじて
「確固たる名作」だけは,
ちょっとわかった.

特に服役中の画家と
看守官のやり取りが楽しめた.

もう一度鑑賞すれば,
その良さがわかった
かもしれない.

投稿者プロフィール

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天雨 徹
人財育成、技術系社員研修の専門家。東京都市大学特任教授。博士(工学)。修士(経済学)。専門は「電力システムネットワーク論」著者に「IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム -」がある.ブログは映画感想を中心に書いている。
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